
先日、故樹木希林さんの遺作となった映画を観に行き、
そのまま本屋へ行って原作本を買って来ました。
映画自体も素晴らしく良くて、
観終ったあとは久々に清々しい気分になりましたが、
原作本を読み終えたときも同じように
何か気持ちが晴れ晴れするようでした。
映画と同じく、
フェリーニの映画 「 道 」 を観たところから話が始まり、
表千家茶道の稽古を四半世紀に渡って続けたときの想いを
淡々と綴っています。
ただそれだけの話なのに、
どうしてこれだけ清々しい読後感になるのかといえば、
私が日本人だから・・・なのかも知れません。
全15話の構成で、
序 章 茶人という生きもの
第1章 「自分は何も知らない」ということを知る
第2章 頭で考えようとしないこと
第3章 「今」に気持を集中すること
第4章 見て感じること
第5章 たくさんの「本物」を見ること
第6章 季節を味わうこと
第7章 五感で自然とつながること
第8章 今、ここにいること
第9章 自然に身を任せ、時を過ごすこと
第10章 このままでよい、ということ
第11章 別れは必ずやってくること
第12章 自分の内側に耳をすますこと
第13章 雨の日は、雨を聴くこと
第14章 成長を待つこと
第15章 長い目で今を生きること
解説を書いている柳家小三治さんが、
日本人全員に読んでもらいたい・・・ようなことを書いていますが、
まさにそんな気になります。
四季折々のきめ細かな移ろいを、
茶道という形式を借りて実に優しく丁寧に綴られた一冊でした。
【 ある日突然、雨が生ぬるく匂い始めた。
「 あっ、夕立が来る 」 と、思った。】 なんていう、
微妙な感覚は忘れたくないものです。
【 2018年11月7日 読了 】