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読んでいて胸が 「 熱くなる 」 のではなく 
「 苦しくなる 」 内容でした。
かの大戦で、日本がどう戦ったかとか、
戦略や戦術の誤りとか、史実に基づいた出版物は
多々読みましたが、
ここまで 「 兵士目線、兵士の立場 」
書かれたものは初体験でした。
 
 第1章 死にゆく兵士たち~絶望的抗戦期の実態Ⅰ
 第2章 身体から見た戦争~絶望的抗戦期の実態Ⅱ
 第3章 無残な死、その歴史的背景
 終 章 深く刻まれた「戦争の傷跡」
 
あの戦争では、異常に高い餓死率、
30万人を超える海没死、戦争での自殺とその「処置」、
特攻、物資の欠乏、劣悪だった補充兵など
様々な凄惨としか言いようのない 「 現場 」
そこにあったことが分かります。
 
日本には他の国とは異なる 「 異常な軍事思想 」 があり、
短期決戦&作戦至上主義、極端な精神主義、
米英軍の過小評価などがあって、
これらが戦争の終盤に敗色濃厚となっているにもかかわらず
深入りして犠牲者を激増させた理由にもつながります。
 
政治や組織体制にも根本的な欠陥があり、
後発の近代国家として経済体制にも
アンバランスな面があったことを考えると、
あの戦争が如何に常軌を逸したものだったかが分かります。
ただ、それを美化したり、日本人の優位性を強調したり、
精神主義がいまだにはびこっていたりと
先々不安な要素が今でも払拭されていないような気もして、
背筋が寒くなりました。
 
【 2018年9月28日 読了 】