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書名を見ただけで、何となく内容は想像がつきます。
癌で余命宣告を受けた著者が、
日々の想いを綴ったもの・・・には違いないのですが、
その「 想い方 」 は想像を超えていました。
 
【 だいたい、私は六年近くまえに癌にかかって以来、
 自分の病気のことで泣いたためしなど、ただの一度もない。
 感傷に浸っている時間などはありはしないのだ。
 肉体的な苦しさに歯をくいしばって耐えている時間以外は、
 どうやって残された時間を意味あるものに使うか、
 だけを考えてきた。】
といった文章に、彼女の生き様や人生観が現れています。
 
ジャーナリストとして、自らが死へ向かう状況を客観的に観察し、
できるだけ正確にリポートして行くことに徹しています。
女性という目線で見てはいけないとは思いますが、
それにしても強靭な精神力の持ち主で、もし自分がそうなったら、
ここまで冷静に見つめることができるだろうか?と
考えながら読み終えました。
 
1986~87年頃ですから、もう30年以上が経ちました。
この本にある約半年間の記録は、
最近増えて来た私の周りでの同様の病に倒れる方々への接し方や、
自分の行く末を考えるうえでも、多くの示唆を与えてくれます。
【 よく死ぬことは、よく生きること 】 ・・・その通りだと思います。
 
【 2018年8月23日 読了 】