
自分の連れ合いが余命宣告を受けたら、自分はどんな行動を取るんだろう?などと、全く考えないこともあり
ませんが、やはりそのときになってみないと分からない、としか今は言いようがありません。
眉村さんが取った行動は 「 一日一話 」 の短編を書くこと。職業作家なので、商売の延長線上にある課題で
比較的簡単だろうと思いきや、そうでもなかったようです。
ちょっと変わった 「 愛妻物語 」 ということになりますが、著者本人の心の揺らぎの過程でもあります。
何と言ってもラストの 「 1778話 」 目は、読んでいる私自身が絶句するしかありませんでした。
「 少し長いあとがき 」 から、眉村さんの想いを紹介しておきます。
【 私は癌になった当人ではなかった。その私が、妻の心境をいくら推察しようとしても、本当のところが
わかるはずがないのだ。
そして・・・・・私は思うのである。人と人とがお互いに信じ合い、共に生きていくためには、何も相手の
心の隅から隅まで知る必要はないのだ。生きる根幹、めざす方向が同じでありさえすれば、それでいい
のである。私たちはそうだった。それでいいのではないか。】
私も、それでいいと思います。
【 2018年6月20日 読了 】