
「 夕暮れの時間に 」 山田太一著、河出書房新社。
80歳を超えた山田さんが、主に70歳代にしたためたエッセイ集です。
ボソボソと言いにくそうに本音をしゃべっているような感じが全編に溢れています。
最後の一文は、寺田寅彦の 「 柿の種 」 を評したもので、こんな文章が出て来ます。
【 誰でも両親を選べない。生まれてきた家も土地も選べない。生年月日も性別も容姿も体質も兄弟姉妹も
選べない。・・・(中略)・・・それぞれが他の人間とちがう限界を持っているからこそ、人生は豊かにもなり、
悲しくも苦しくも喜びにもなり、陰影も深みも味わいにも恵まれるものではないだろうか。(後略)】
いささか諦念にも似た人生観ですが、その通りで、他にも山田さん特有の気恥ずかしいながらも実はこう
です…的な話が続きます。
私も年齢を重ねてきたせいか、そんな気持ちが良く分かるようになってきました。
【 2015年11月3日 読了 】