
元岩手県知事、元総務大臣、増田寛也著 「 地方消滅~東京一極集中が招く人口急減 」( 中公新書 )。
近未来の話ではなく、人口減少に転じた5年ほど前から始まり、現在も進行中である事象に関する分析と考察
と提言の書です。
随分話題になったベストセラー書なので、興味は持っていましたが、今回読み終えました。
分析が客観的なバックデータに基づいているので、読み進むうちに論理展開もしっかりしていて説得力があり
ます。全体的に、悲観的でもなく、かといって楽観的でもない、淡々と冷静に物事を見て行けば 「 要はこういう
ことでしょ!」 と云われているようなもの。
1.本格的な人口減少は、50年、100年先の遠い将来の話ではないか?
2.人口減少は、日本の人口過密状態を解消するので、むしろ望ましいのではないか?
3.人口減少は地方の問題であり、東京は大丈夫ではないか?
4.日本全体の人口が少なくなるのだから、東京に人口を集中し、生産性を向上させた方がよいのでは
ないか?
5.近年、日本の出生率は改善しているので、このままいけば自然と人口減少は止まるのではないか?
6.少子化対策はもはや手遅れであり、手の打ちようがないのではないか?
7.出生率は、政策では左右されないのではないか?
8.「子育て支援」が十分な地域でも、出生率は向上していないのではないか?
9.海外からの移民を受け入れれば、人口問題は解決できるのではないか?
以上の9項目は、いずれも誤解であり・・・という話から、この本は始まります。
考えてみると、どうしてここまで少子化が進んでしまったのか?ということが謎で、一人っ子政策を取ったわけ
でもなく、個々人が自由な選択をした結果、つまりは 「 合成の誤謬 」 のようにも見えますが、本当にそうな
のか。
理由が分からなければ、有効な対策は立てようがない訳で、本書はその理由をデータに基づいて明快に解き
明かしてくれています。
何をするにも、「 最後は人 」 ですから、人の問題は大きく、対策も急がれると感じました。
【 2014年11月4日 読了 】