
<8月28日>
秋田県北秋田郡上小阿仁村沖田面。
旧沖田面小学校の 「 KAMIKOANI プロジェクト秋田2014 」 沖田面会場。衣川泰典さんの作品 「 スクラップ
ブックのような絵画♯15( 繋がる場所2 )」。
絵のような写真のような、昔のような今のような、脈絡があるような無いような作品。モノトーンの赤っぽい色の
濃淡をつけた、壁一面に拡がる大きなものです。

展示室とは反対側、入口を入って右側の教室では、作家さんたちが 「 現在制作中 」 でした。
ここ沖田面会場では、アーティスト・イン・レジデンスという企画で、制作中の作品を見ることができるように
なっていました。もちろん、公開日は決められていて、それ以外は原則として見ることはできず、作家さんの制作
活動の邪魔をしないように配慮されています。
廊下から見える作者 「 衣川泰典 」 さんの背中。
部屋を覗いていたら、ご本人から声をかけられました。
“ どうぞ!どうぞ!”
“ えっ!いいんですか?入っても・・・。”

教室のアトリエの中は、紙やら絵具やらが散乱していて雑然としています。まさに 「 制作中 」 という感じ。
“ 私は京都生まれで・・・。この作品は・・・。”
などと話が弾みました。30代中盤とおぼしき、若くて落ち着いたアーティストという雰囲気の方で、作品に
かける想いや作り方などを丁寧に説明してくれました。

スケッチだったり、写真だったり、どこかにあるような景色、いつか見たことがあるような街並みを削り取って、
単色の濃淡だけで仕上げて行きます。
セピア色ではありませんが、白黒絵画に近い表現。それを、大きなキャンバスに張り付けて行くやり方です
ので、完成品は巨大なスクラップブックのようなものになります。

ビルの街並み、トンネルの景色。
単体で切り取れば、それはそれで立派な一枚の作品です。

黒板に並ぶ、こちらは 「 コブ杉くん 」。
衣川さんが遊びで作った、上小阿仁村の名物のひとつ 「 コブ杉 」 をイメージした木製グッズが意外に好評で
何個か作ってみている・・・とのことでした。
出来上がった作品を鑑賞して、第一印象でテーマや作家さんの思いを感じることも大事でしょうが、こうして
制作過程の真っ最中に、ご本人と会話をするのも楽しいものでした。