
小澤征爾さんが一時体調を壊されて、音楽活動を休んだり大幅に制限したりした時期がありました。いまは、
だいぶ回復されて少しずつですが活動を再開されています。
2010年の暮れから2011年の夏にかけて、東京、ホノルル、スイスなど世界各地で小澤さんとのインタビュー
を行った村上さんがまとめた本です。
新潮文庫 『 小澤征爾さんと、音楽について話をする 』 ( 小澤征爾、村上春樹 ) は、小澤さんという指揮者
であり音楽家であり芸術家の姿を生き生きと紹介してくれています。
ベートーヴェン、ブラームス、マーラー、オペラ、そしてオマケのジャズまで、作曲家の一つの作品を様々な
演奏を聴きながら二人の話が進み、専門的でもあり直感的・情緒的でもあり、村上さんの絶妙の梵鐘表現の
おかげで、そんな会話の雰囲気や二人の性格までストレートに伝わって来ます。
登場する指揮者やソリストも多士済々で、バーンスタイン、カラヤン、グールド、サイトウ・キネンなどの特徴が
良く分かります。
それにしても、村上さんの博識と文章の巧みさには舌を巻きます。そして、小澤さんの音楽に向き合う姿の
ナチュラルさというかピュアさには、ある意味感動します。
対話形式の音楽論は初めてですが、楽しく、面白く、興味深く、一気に読めました。
【 2014年9月14日 読了 】