
久しぶりに丸谷才一さんの長編小説を読み終えました。
「 持ち重りする薔薇の花 」( 新潮社 )。
題名の表現が出て来るのは後半に入ってからで、「クヮルテットといふのは四人で薔薇の花束を持つやうな
ものだな・・・(中略)・・・持ち重りする花なんて変だけれど・・・(後略)」
ここから来た題名だと思います。
クヮルテットとクラシックの話題を中心にした音楽の話を軸に、財界の話、男と女の話なんかが絡んで行き
ます。淡々とした口語体の文章の中に、妖艶さや色気のようなものも感じさせるから不思議です。
それにしても、いつものことながら丸谷さんの博識、奥深い教養、会話だけで紡いで行くような、なまめかしい
文体には感心させられます。
知的好奇心を十分に満足させてくれる、芳醇で妖艶な長編小説でした。
【 2014年5月18日 読了 】