昨夜、妻と二人で観て来ました。
 
 スティーヴン・スピルバーグ監督 『 リンカーン 』。
 
 予告編と同様、本編でも冒頭で監督自身が観客に語りかけるシーンがありました。これは、珍しい。
 
 たぶん、南北戦争そのものが、日本人にはあまり馴染みがなく、歴史的事実や経緯などを良く知らない人が
 
多いことを想定したうえでの出演だったのでは?と推測します。
 
 私自身、当時の大統領がリンカーンで、北軍がグラント、南軍がリー将軍だったぐらいしか記憶になく、経緯や
 
時代背景は曖昧、奴隷解放宣言の詳細も良く分かっていませんでした。
 
 この作品、派手なアクションや戦争シーンは殆んどありません。ただただ、共和党対民主党の攻防、大統領の
 
執務と葛藤と家族とのやりとり・・・が淡々と、延々と続きます。いわば 「 史実心理劇 」 のようなもの。予想以上
 
に地味なので、万人受けして大ヒットするような内容ではなさそうです。
 
 とはいえ、アメリカ史を良く知らなかった私にも、南北戦争終結時に憲法修正というギリギリの攻防があった
 
ことを分かり易く伝えてくれました。リンカーン本人とそっくりの主演ダニエル・デイ=ルイス、缶コーヒーのCM
 
ではすっかりひょうきんキャラになったトミー・リー・ジョーンズがシリアスなキーマンを演じています。
 
 人類の歴史の中でも、大きなターニング・ポイントになった史実を、スピルバーグはこんな形で描きたかった
 
んだと思われ、メッセージが伝わって来ます。
 
 深い映画でした。