
水産業について書かれた本を、まともに読んだのは初めてかも知れません。2社目の被災地企業支援先
として岩手県宮古市の水産加工業に通い始めたこともあって、少し水産業の勉強をしています。
『 日本の水産業は復活できる!~水産資源争奪戦をどう闘うか~』、片野 歩著、日本経済新聞社。
読み進みながら、“ ヘェー!” とか “ ほぉー!” とか “ フムフム!” といった感嘆詞が出て来るほど、今まで
知らなかったことや意外な事実に驚かされます。
世界を見渡すと、日本は国土面積では61位なのに、「 排他的経済水域 」 の面積では何と第6位です。1位は
アメリカ、次いでオーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、カナダの順で、あの広大なカナダに匹敵する
面積を有しています。
また、北東大西洋海域 ( ノルウェー、アイスランド周辺 )、北西大西洋海域 ( アメリカ、カナダ東岸 ) と並ぶ
世界三大漁場のひとつ 「 北西太平洋海域 」 を持ち、その豊かな漁場を他国と重複することなく独占している
という稀にみる恵まれた状況にあります。
かつては世界最大の漁業国として、遠洋漁業中心に七つの海を縦横無尽に走り回っていた日本が、いつの間
にか、世界から取り残されてしまいました。その理由が、本書では段階的かつ論理的に分かり易く解説されて
います。
北欧での取り組みを紹介しながら、水産業を成長産業にするポイントを3つ。
1.資源管理 2.輸出産業への転換 3.労働環境の改善
読み終えると筆者の意図が良く理解でき、衰退産業といわれて久しい水産業には、( やりようによっては )
明るい未来があることを思い知らされました。
【 2013年4月2日 読了 】