イメージ 1
 
 日本語を書かせれば、今の日本ではトップクラスのレベルにあった作家、丸谷才一さん。
 
 先日、惜しまれながら亡くなりましたが、この方、挨拶も天下一品です。
 
 結婚披露宴、文学賞受賞祝賀会、親類縁者の葬儀、定年を慰労する会・・・などなど、様々な場面で丸谷さん
 
がしゃべった挨拶が、本人のコメントと共に載っています。実に面白い。
 
 中でも驚いたのは、2007年1月29日、帝国ホテルでの 「 朝日賞、大佛賞、大佛論壇賞受賞パーティー 」 での
 
乾杯の挨拶です。大きなボードに 「 祝 」 と 「 乾杯 」 だけを掲げて、ひとことも発しなかった話。これには当然
 
ですが、れっきとした理由があって、また実行した時の後日談も巻末に載っています。実に面白い。
 
 また、巻末の対談、和田誠さんとの話もいいです。「 スピーチの心得あれこれ 」。
 
  「 原稿を作って準備する 」
  「 長すぎるのはだめ 」
  「 余計な前置きは入れるな 」
  「 引用はひとつにせよ 」
  「 おもしろい話を入れろ 」
  「 ゴシップを有効に使え 」
  「 悪口を言うなら対策を考えておけ 」
 
 珠玉の挨拶集を締めくくるに相応しい、対談の内容です。
 
                                                 【 2012年12月30日 読了 】