
阿川佐和子著 『 サワコの和 』、幻冬舎文庫。
この人の文章は、いつものことながら、トントントォーーーンと読めて、テンポの良さを感じます。これは
たぶん、難しい言葉やまわりくどい表現、あまり使わない比喩なんかがなくて、文体が自然体だからだと思われ
ます。
とはいいながら、阿川さんの根っこの部分には、今の日本人が忘れかけているモノやコトが凝縮されていて、
それが読む人、とくに私のような同年代の者にとっては・・・ “ うんうん、その気持ちわかる!” ということになり
ます。根底に流れているのは、阿川家の家風のようなもの。
かつての日本には、どこの家にもそんなこだわりや空気みたいなものがあって、誰しもが多かれ少なかれ、
それに律せられていたような気がします。
進取のものを取り入れながらも、伝統的価値観は忘れない。可笑しさ面白さの裏にある、芯の強さを感じる
エッセイ集でした。
【 2012年7月16日 読了 】