
幸田真音著 「 マネー・ハッキング 」、講談社文庫。
この作品を最初に書き上げたのが、1995年、つまり今から17年も前だった・・・ということ自体が驚きです。
17年前といえば、インターネットという言葉すら、まだ何となくマニアだけの特殊な用語というのが、世間一般の
認識だった時代。
そんな時代にあって、幸田さんが描いたのは、デジタルの世界であり、ネットの世界であり、ハッカーの世界で
しかも金融を舞台にしたセキュリティ管理の問題でした。
私自身は、ディーリングやデリバティヴといった金融工学的な世界は良く分かりませんが、それでもストーリー
展開が巧みで分かりやすく、一気に読み進むことができます。
フィクションなのに、ドキュメンタリーのような趣を持つほど、現場の実務に詳しくなければ描けないきめ細かさ
を持っています。
ベースにあるのが、勧善懲悪的なところ、というのも安心して読める理由かも知れません。
【 2012年5月25日 読了 】