
『 食の理想と現実 』 福島徹著、幻冬舎経営者新書。
第1章 毎日の食を整える
第2章 農家とともに食を整える
第3章 農業のプロフェッショナルたち
第4章 コミュニケーションが活発になる売り場づくり
第5章 地域活性化への「食」本来の可能性
第6章 食の理想と現実のあいだから見えてきたこと
筆者は、東京都羽村市にある食品スーパーマーケット 「 福島屋 」 の代表です。
家業だった 「 よろず屋 」 を引き継ぎ、「 酒屋 」「 コンビニ 」 を経て、現在の業態に転換。東北の生産者から
直接、米を仕入れるなど農業との距離を縮めながら、生産者とのコラボで数々の 「 福島屋オリジナル商品 」 を
開発。自らを、農業と商業のあいだにあって創意工夫で報酬を得る 「 商業家 」 と称して、農業を支援しながら
「 食 」 のあり方について深い考察をしています。
“ 旬でない野菜は売り場になくていい ”
当たり前のことが、いつの頃からか出来なくなり、出来なくされ、異常なことが当たり前になっているのが現実
の時代に、「 当たり前 」 を貫いています。
それが消費者に支持されて、仕事を始めて以来40年間黒字経営を続けているそうです。
読み進んで行くと、あちこちに示唆に富んだ話や深く考えさせられるテーマが出て来ます。中でも、強調されて
いるのが 「 食を整える 」 ということ。
これは何もカロリーだとか栄養バランスのことを言っているのではなく、私たちが毎日毎日繰り返している、
たった30分間の食事を整えることを意味しています。
一つ一つの食品が、どのような人たちが如何なる思いで作ったものなのか、それを自分はどのような考えで
手に入れ、如何に料理し、どうやって食べるのか、それを常に自覚的にしてみませんか?ということ。
このことは、自然のあり方、人間本来のあり方、自分本来のあり方を見つめ直すことだ、と語っています。
素朴な問いかけに “ ハッ!” っとさせられことが多く、単純なことの中に、実は深い意味があることを思い
知らされました。 【 2011年9月27日 読了 】