
久しぶりに映画を観てきました。
ポーランド映画の 『 カティンの森 』 。監督はアンジェイ・ワイダ。「 灰とダイヤモンド 」 で有名な監督です。
舞台は1939年ポーランド。この年の9月、ポーランドはナチスのドイツと、赤軍のソビエトに東西から侵攻
されます。そんな状況下で起きた悲劇が 「 カティンの森 」 事件。約15,000人ものポーランド将校が忽然と
行方不明になった事件です。

長い間、真相は闇の中にありました。ドイツはソ連の仕業といい、ソ連はドイツの犯罪として糾弾していた事件。
真相が明らかになったのは、事件が起きてから50年近くも経ってからのことでした。

映画では、この手帳が真相を語るキーワードになっています。
ワイダ監督の父親は 「 カティンの森 」 事件の犠牲者の一人。母も父の帰りを待ち望みながら亡くなって
います。つまり、監督自身の積年の思いがぎっしり込められた作品になっています。
今年の4月。ポーランドの大統領専用機が墜落して、大統領夫妻はじめ政府の要人の多くが亡くなるという
痛ましい事故がありましたが、あのとき大統領は 「 カティンの森 」 の追悼式典に出席するために現地へ
向かっていました。
70年という長い長い歳月が流れてはいますが、事件の傷は癒えていません。
映画はドキュメンタリー・タッチで、淡々と、しかしながら正義と真実を貫こうとする強い意志を持って描かれて
います。目を覆いたくなるようなシーンも多々ありますが、歴史の真実を赤裸々に見せてもらいました。