
『 祖国とは国語 』 藤原正彦著、新潮文庫。
著者独特の世界観・哲学に裏打ちされた 「 言い回し 」 が随所に現れ、思わず頷いたり、へぇーっ!と思ったり
何もそこまで・・・とハラハラしたり、読み進みながらちょっと胸が詰まる感じも覚えました。
■ 国語はすべての知的活動の基礎である。
■ 教育を立て直すこと以外に、この国を立て直すのは無理である。
■ インターネットで深い知識を得られることはありえない。インターネットは切れ切れの情報、本でいえば
目次や索引を見せる程度のものである。ビジネスには必要としても、教養とは無関係のものである。
■ いじめなどは、卑怯を教えない限り、止むはずもない。
■ まずは我慢力を。
国家の根幹は、ひとえに国語教育にかかっている・・・と言っている本人は数学者です。国際派の数学者である
からこそ、国語の重要性が見えているのかも知れません。国語は、論理をはぐくみ、情緒を培い、知的活動や
教養の下支えとなる読書する力を生みます。
なかなか、説得力があります。
語彙が豊富で、表現力の豊かさという点で、世界の言語の中でも最高峰にある日本語。確かに著者の言う通り
母国語をきちんと使えないで、外国語でもないでしょうね。
この本は2002年前後のものですが、「 iPad 」 がまもなく発売されようとしている今、著者はどんなことを
考えているのか、聞いてみたくなります。
国語の大切さ、面白さを改めて再認識させられました。
【 2010年5月14日 読了 】