『 私は貝になりたい 』 橋本 忍 脚本、朝日文庫。
遺書・原作の題名は、加藤哲太郎 「 狂える戦犯死刑囚 」。
この本で描かれているテーマは重いですね。ズシッ!とのしかかってくる感じですが、後世に語り継ぐ
べきテーマであることも確かです。
ラストシーンは、主人公豊松のつぶやき・・・
「 深い海の底なら・・・・・戦争もない・・・・・兵隊もない・・・・・房江や健一、直子の
ことを心配することもない。どうしても生まれ代わらなければいけないのなら・・・・・私は貝に
なりたい・・・・・」
上官の命令に従っただけなのに、最終的に戦犯として絞首刑になるという、やり切れなさが、淡々と
描かれています。
「 戦争と庶民 」「 国家と兵士 」 という関係について考えさせられます。
脚本自体は、2008年に東宝系で公開された映画のもの。中居正広、仲間由紀恵が主人公夫婦役で
共演しました。映画は観ていませんが、映像はイメージとなって浮かんできます。
【 2010年(平成22年)3月16日 読了 】