『 銀行総務部 』 笹子勝哉著(徳間文庫)。
今となっては「 一昔前の経済小説 」 ということになるんでしょうが、筋立ては面白く、テンポも
良くて、一気に読めました。
舞台は、大東銀行(限りなく○浜銀行に近い)総務部。取締役総務部長の高野、次長の咲山を中心に、
常務、頭取が深く絡んできます。一方では、総会屋の並木、その紹介で来る倉沢兄弟、陰で出てくる謎
めいた岩波・・・、といったところです。
総務部という部署は、大なり小なりこういった業務を抱えており、当たらずとも遠からずのことが
おそらく今でもあると思われます。
文庫が出たのが12年前ですから、初版はさらにその前、当時とは株主総会も総会屋もかなり変わって
しまっています。今になって読むと、少々時代遅れで、大げさな話に思えますが、当時にしてみれば
あり得る話になりそうです。
「 その当時の大手地銀総務部では起こりうるフィクション 」として読めば、ちょうどいい感じです。