昨年惜しまれて世を去ったポール・ニューマン。
『 卒業 』等々のダスティン・ホフマンも好きな俳優ですが、ポール・ニューマンもいいですね。
どこか「 とぼけた 」雰囲気があって、けれども「 知的 」で「 いたずらっ子 」のようなキャラを
持っています。演技自体は「 渋さ 」や「 凄味 」も兼ね備えた本格派。
この『 栄光への脱出 』はサントラのテーマだけは知っていましたが、観るのは初めて。某○E○の
100円キャンペーンに便乗して借りてきました。若かりし頃のポール・ニューマンの代表作とも言われて
いる作品だし、題名からして「 アクション 」か「 戦争 」ものかな?などと、後になって考えてみると
かなり安易な気持ちで、手に取りました。

テーマもストーリー展開も上映時間も、予想を遥かに超えて、「 重い 」「 長い 」作品です。
イスラエルの建国というテーマを、おそらく史実に近い形で映画化したと思われます。脚本は
『 パピヨン 』『 ジョニーは戦場へ行った 』などのダルトン・トランボ。
原題は『 EXODUS 』 旧約聖書の「 出エジプト記 」 にもなぞらえた話で、一時キプロス島に集め
られたユダヤ人たちが、ポール・ニューマン扮するアリ・ベン・カナンに率いられて「 約束の地 」
パレスチナへ向かうところから物語りは始まります。
統治するイギリス、ナチスによる迫害の真っ最中だったドイツ、パレスチナ分割の相手方となる
アラブ、分割の賛否を問う国連、が外側で複雑に絡み合います。ユダヤ人内部では、穏健派と過激派
が血を分けた兄弟の間で悲喜こもごもの、これまた絡み合い・・・。
観ている途中から、“ イヤに長いなぁー・・・ ” と思って、上映時間を見たら、ナント約3時間30分。
こんなに長い映画を観たのは久しぶりでした。
ラストシーンで再び戦いの場へ向かって行く(と思われる)のですが、一体誰と戦うのだろう・・・?
と思わせる終わり方でした。
1960年公開の映画ですが、パレスチナ問題はいまだに未解決と言えます。つい最近もガザ地区の爆撃
問題があったばかり。「 民族 」と「 思想 」と「 国際関係 」が複雑怪奇に入り組むパレスチナ、
その原点を見たような映画でした。