「経済小説」という分野を切り拓いたのは一体誰だったんでしょう?
城山三郎とか高杉良とかが浮かびますが、先駆者は一体・・・?

昨日『ハゲタカ』を観てきました。ロードショーも後半になって来ています。観客の年齢層が高く、
ラストのエンドロールになっても誰一人席を立たない光景は、なかなかありません。単細胞的な話かも
知れませんが、たいていは二人で同じ映画を観に行く私ら夫婦、エンドロールは最後まで必ず観ます。
お互い理由を明かしたことはありませんが、私の場合は、最近の映画にはエンドロールにまで細かい
仕掛けをしている作品があること(ハリー・ポッターなんかはそうです)、スタッフや協力企業に時々
「発見」があること、観ている時に思い出せなかったキャストやロケ地が分かる場合があること、そして
何より「映画は完成までに、多くの人の知と汗が注ぎ込まれており、エンドロールはその集大成」の
ような気がして、最後までしっかり見届けよう・・・と思っているからです。

ところで『ハゲタカ』、NHKの連続ドラマの続編。キャストもほぼ同じ。
設定は「あれから数年後」。今回は中国系ファンドやドバイ・マネーが絡みます。
切れ味がいいですね、ストーリー展開も先が読めないせいかワクワクします。実際のファンド・マネ
の世界が、この映画にどれくらい近いのかは分かりませんが、現実味はあります。

「敵対的TOB」とか「エンジェル・ファンド」とか言われても、田舎暮らしの身にとってはあまり
ピンと来ないところもあります。どこか “理論として” 一応知っている程度。それが、この映画では、
バーチャルとはいえかなり現実に近いと思われるところで話が進んで行きます。
“人生における悲劇2つ。ひとつはカネのない悲劇、もう一つはカネのある悲劇” がテーマ?

私は、ラストに近いシーンで柴田恭平扮する「芝野;アカマ自動車役員」が放つ言葉・・・。
「日本人のまじめさや勤勉さに誇りを持っている。日本もまだそう捨てたモンじゃないサァ!」
が印象に残りました。
リーマン・ショックのようなことがアレンジされて出てきます。現実ではリーマン・ショック以来、
とくに金融(という血流)がガタガタになってしまいました。今の金融業界には往年の勢いはなく、
金融マンとしてのプライドもやりがいもなくなって、息を潜めている感じがします。どの企業も多かれ
少なかれ意気消沈状態になってはいますが、「血流」を担う金融が元気にならなければ、本当の健康
回復軌道には乗らないのでは・・・?。
「日本人のまじめさや勤勉さが逆スパイラルになっている。こんなに深刻に考えているのは、世界の
中で日本人だけかも知れない。日本もまだ捨てたモンじゃない。もう少し肩の荷下ろして気楽に、もう
少し遊び気分で、もう少し顔を上げて、前を向いて歩き始める。」ぐらいでいいような気がします。