という、終の居場所の問題がテーマの一つになっています。
著者;倉本聰、昨年秋~冬にTV放映されたドラマのシナリオ本です。出演者;中井貴一、黒木
メイサ、神木隆之介、平原綾香、森上千絵、ガッツ石松、平野勇樹、木内みどり、石田えり、伊藤蘭、
奥田瑛二、国仲涼子、大滝秀治、草笛光子、そして・・・決して忘れることはないでしょう・・・
緒形拳の遺作になりました。
「スノードロップは、雪どけの時期に、まっ先に咲くんです。おじいちゃんの作った花言葉は“去年
の恋の名残りの涙”です」という、神木隆之介のナレーションからドラマは始まりました。毎回、花と
その花の花言葉が出てきて、これが作品の重要なモチーフになっています。
「エゾエンゴサク=妖精たちの秘密の舞踏会」「ゲラニウム・ジョンソンズブルー=大天使ガブリエル
の哀しいあやまち」「カンパニュラ・プンクタータ・ウェディングベル=孫娘を嫁に出す日」ほか多数。
そして最終11話は「ナツユキカズラ=今年の冬に降る筈の雪」。
倉本と北海道という、いつもの透明感に満ちた、清らかなものの裏に真っ赤なドロドロしたものが
あるような、それでいてホッ!とする展開です。ただし、投げかけられているテーマは重い…。ドラマ
を見ているときも少しは考えましたが、本を読んでいると更に、自分だったらどうするだろう、と思い
続けながら読んでいました。
私は「余命宣告必須派」で、できるだけ納得したうえでこの世を去りたいという思いが、昔からあり
ます。・・・が、最期の「場所」となると、これは相当心もとないことになってきそうです。希望と
しては「自宅&家族」ですが、この素朴な望みを叶えるのは、現代の最新医療では却って難しいのかも
知れません。それに向田邦子のように、期せずして事故に遭ってしまうことだって十分にあります。
ドラマ制作にあたり、2年がかりで本物の「風のガーデン」が作られました。劇中に出てくる庭の
花々は、どれもこれも、そのときに本当にそこに咲いていた本物の花です。5月30日、新富良野プリン
スホテルの敷地内に、この「風のガーデン」が一般開放されてオープンしました。営業は10月4日まで、
入園料一人500円。行ってみたいけど、富良野は遠いなぁー。
花の命も人の命もはかないけれど、命があるときぐらいはせめて、精一杯咲いていたいものです。