著者は小濱岱治(法名;釈慈岱)、出版社;㈱書肆アマネ、値段が書いてありませんので、非売品
だと思います。帯に書いてある宣伝文句を引用すると・・・。
『ある日、「冥界誘導士」と名乗る男が現れ、私に、地獄のリストラを頼みたいという。暮らしや
すい地獄、民主的な地獄、明るい地獄、安定した経営基盤の地獄…そんな地獄の構築を目指して、
コンサルタントとしての最後の仕事が始まった―――』
不思議な本です。私の読書歴&読書量は結構あるという自負がありますが、こんな本を読んだのは
初めてだったような気がします。主人公は関辰三郎、68歳、職業は経営コンサルタント、中小企業
診断士と外国の大学の論文審査で取った経営学博士号の称号を持っている人物。この主人公の元へ、
ある日一人の男が訪ねて来るところから物語が始まります。クライアントが依頼した仕事は「地獄の
コンサルタント」・・・果たしてその診断結果は?
【閻魔庁構造改革計画案(抄)】
○基本方針;閻魔庁の民主化、住み心地の良い地獄
○組織改革;官営体制から公社化、特殊法人制度への移行
○閻魔庁組織;機能別事業別組織の構築、ゼネラルスタッフ執行責任制度ほか
○働きがいのある職場;能力主義と号俸給制の確立、若手技術者登用制度ほか
○亡者審判制度の明朗化;陪審員制度の法制化・亡者教育刑の思想徹底ほか
○亡者刑路システム採用;受刑制度の点数化方式採用、受刑順路指導徹底ほか
○地獄設備の近代化;設備構造改革案の策定
○教育制度の改革;刑務官子弟義務教育、親の教育参加義務、技能別専門学校
○健全財政の確立;歳入源の確保(葬儀社税・香典税・寺社参観税等)ほか
○情報化の推進;RFIDシステム構築、浄土・天道界・人道界ネットワーク構築
よくもまぁ、こんなことを考えついたと思うほど、「地獄のコンサルタント」の頭は縦横無尽に
回転しまくります。柔軟な発想、適宜な遊び心、豊かな想像力、確かなコンサルタント力、そして
何と言っても「読ませる文章力」が素晴しい!。書店には出ていませんが、はっきり言って脱帽です。
あることがキッカケで始まった著者との交流。あれからもう「ン十年」。1月末に、元の会社を翔び
出して浪人生活に入った私へ、先生は、この本を含めた自著を数冊送ってくれました、感動的な激励文
を添えて。私とは30歳ほどの歳の差があるというのに、頭の中はむしろ若いくらいのバイタリティーを
持ち続けている方です。実はこの先生・・・・、『街歩き大好き』書庫で、彷徨い果てて辿り着いた
「日本販売促進学会」の主宰者でもあります。
先生からの宅配便に同封されていた激励文と学会への招待状。それに乗っかって過ごした4月末の
横浜&東京。アカデミックな話題も多くありますが、それらはこれから『M.S』書庫に譲ります。