昨夜、宮本輝の「ドナウの旅人」上下巻を読み終えました。
1985年だから、今から25年ほど前の作品。
国名が懐かしく、
ベルリンの壁崩壊前の共産主義国の様子が克明に描かれています。
若い男と突然出奔した母を追って、娘が渡欧、
ドイツ人のフィアンセと共に、ドナウ河に沿って旅を続けるというストーリーです。
先月、中欧5カ国(ドイツ~チェコ~オーストリア~スロバキア~ハンガリー)と
初めてのヨーロッパ旅行へ行って来ました。
大陸を流れる大河のうち、エルベ川、モルダウ川、ドナウ川を
実際にこの目で見てきましたが、
中でもドナウ川は脳裡に焼き付いています。
シュヴァルツヴァルトの森(黒い森)に端を発したドナウ川は
多くの国々を流れて、最後は黒海に注ぎます。全長約2800km。
その流域は古から民族の興亡の歴史が繰り返され、
歓びや哀しみ、血や汗が沁みついている土地でもあります。
「ドナウの旅人」はストーリー展開の面白さもさることながら、
自分の目で見た風景が鮮明に蘇って来ることもあって、
イメージが膨らみました。
現地を見たのと見ないのとではこんなにも感じ方が違うのか…
と認識を新たにしました。
今回私が見たドナウ川はウィーン、ブラスチラヴァ、ブダペストだけ。
このほかにもドイツ、ブルガリア、ルーマニア、ロシアなどなど
まだまだ多くの国を流れています。
そしてそれぞれの地域に異なった風景や歴史や民族があります。
いつかまた、ドナウ川の「続き」を目にする機会を持ちたいと思います。