夕食を求め松本の街に繰り出す。

改善工事中の女鳥羽川周辺を散歩がてらに歩く。

おそらく外堀になるこの川を中心に、街全体が碁盤の目のようにかたどられている所が城下町らしい。

なまこ壁をまとった商店が目に付く。

古びた木造様式ながら、その中をのぞくと驚くほどの清潔感があった。

同時にこの地に住む人が利用する生活臭も感じた。

ラーメン屋の赤いのれんをくぐる。

ギョーザと野菜炒めとビールを頼み、カウンターの上に置かれていた長野新聞を広げる。

明日の白馬岳は霧と雨、または雷雨らしい。

明日の目的地は白馬。

まったく持っていやになる。

ビールをコップに注ぎ、安心する味のギョーザと野菜炒めをゆっくりと腹に収める。

小一時間ほどで店のくつろぎから外へでた。

すると、とたんに足ががくがくとして普通に歩くことができなくなった。

調布を出てから4日目。

自転車をこぎ続け、動いている時間に気がつかなかった疲労が、少し休んだことでここにきて表れた。

上半身だけが前に向かい、不自然な足取りで歩く。

夜7時を迎えていたが、まだうっすらと明るい。

辺りの飲み屋の看板に灯がともりだす。

「岡山の女」「オランダ坂」「失楽園」

その看板を眺めていると、経営者の素顔がうっすらと感じて、少しのおかしみを感じた。

そのネオン街を背に、碁盤の目の道を足の痛みを抱えながらホテルへ。

今日までのことをまとめて書き残そうとして、部屋の机の前に座る。

設置された大きな鏡がわが身を映し出す。

体力を使いきったその表情は、心地よい疲れの中に安堵の面影が見えた。

ほどなくしてベッドに横たわる。

新しく綺麗なシーツがうれしい。

いつしか眠りにつく。




翌朝。

予想に反して空は明るい。

早々にチェックアウトをし、松本城を拝見。

朝の空気の綺麗さを感じ、出発。

今日からは国道147号線とのお付き合いである。