柱の一人、杉内が帰ってきたことの喜びもつかの間だった。

4回表までの所要時間はおよそ50分。

投手戦の様相をそうしていた。

その裏、内角高めのストレート、あそこまで思い切り引っ張れる小笠原を褒めなくてはいけない。

ファームで調整を続けてきた杉内。ストレートの伸び、カーブのキレなどは以前よりも良くなっていたように見えた。

ツーアウトからの一発。相当こたえただろう。

表情は終始涼しげだったが、胸の内の想いは相当揺れ動いていたと思う。

その後のコントロールの乱れ。稲葉のタイムリーはうまく打たれたが、小笠原のホームラン直後のセギノールへの球と、同じくホームランを打たれた新庄への球は、投げたと同時に目を覆いたくなるようなものだった。

もちろん配球ミスもあるとは思うが、昨日の場合、それは単なる結果として考えるべきだと思う。

1軍復帰後初の試合だっただけに、気持ちと結果が同様になってほしかったが、好調日ハムはそれを許してくれなかった。

一挙4点。

だがここのところのホークスは、少々のことを跳ね返す強さが出てきているので、期待を込めて引き続き観ていた。

しかし立ちはだかったのはルーキー八木。

八木との対戦は今期4度目。

1度目は継投でのノーヒットノーランを喫した試合。11回まで八木は投げた。

2度目もほぼ完封に近い敗戦。

3度目にしてようやく打線が奮起し3回でマウンドから引き摺り下ろした。

そして昨日、前回攻略していたので期待を持っていたのだが、ルーキーで8勝を勝ち取っていることが伊達じゃない投球を見せつけられてしまった。

球速はもう少し出るが、140キロに満たないストレートでも打者を押せる投球術は、ホークス、和田と微妙にダブる。

今年、渋く頼りがいのあるバッティング状態にある大村が手も足も出なかったこと自体、その内容を表していた。

惜しむらくは7回表2死1、2塁での大道。八木の投じたど真ん中の変化球、そんな甘い球など予測していなかったのだろう、ボールの少し下を叩いてしまいレフトフライに終わった。

この時点ではまだ4点差だったので、ベテランの下にさらに仕事人と呼び名がつく大道にはぜひとも捕らえてもらいたい一球だった。

今後も登板してくるであろう八木。もしプレーオフに日ハムが出てくるのなら、その中心にも必ず入ってくる投手。天敵となりつつあるが、決して完璧な投球ばかりするわけではない。

前回、昨日と相性のいいズレータを中心に、早く攻略の糸口を見つけ出してもらいたい。

しかしながら、昨日のホークスの9回の攻撃は、正直あきらめかけていた気持ちを奮い立たせてくれた。

今年は同じような場面を良く見るのだが、大道のタイムリーの時、3塁まで走ったズレータの気力とガッツポーズ。勝利への執着心、あきらめずに戦う姿勢が十分伝わってきた。

先日のロッテ戦、ダブルプレーでも1点献上と言う守備体系の場面で、見事ダブルプレーに打ち取った時のズレータのそれでいいんだと言わんばかりにうなずく姿、その時も同じことを感じた。

もちろんズレータに限ったことではない。だが、冷たいようだがズレータは言うなれば助っ人。彼の優れた人間性もあるのだろうけど、チーム自体が同じ強い姿勢で戦っていることを感じる、ひとつのシーンである。

誰一人としてあきらめることなく戦うホークス。あきらめなければ何かが変わる。そして野球のレベルも必ず上がる。

見舞いに訪れた森脇監督代行に王監督は「原点に帰れ」と言ったらしいが、僕にはそのはっきりとした真意はわからない。だがあくまでもさらに上を目指す王監督の向上心にはおそれいる。

その王監督が今年求めているもの。その多くの成果を、今のホークスはつかみかけていることには違いない。