今日は前から気になっていた龍田古道の途中にある亀の瀬地すべり歴史資料室へ行ってボランティアの方に説明して頂いた。明治25年にトンネルが完成し、初めて大阪と奈良が鉄道でつながった。しかし、昭和6年の地すべりでトンネルが壊滅した。それが、平成20年地すべり防止工事をしている時に偶然トンネルの一部が見つかった。それが、パンフレットに常にのっている旧大阪鉄道隧道である。

 

これが明治25年に完成した大阪と奈良を結ぶトンネルだった。イギリス方式というレンガの組み方で当時の最先端技術を使ったものだそうだ。天井の黒くなっているのは蒸気機関車の煙の跡だそうである。

 

これが、地下水が溜って地すべりを起させないように常に排水をさせるための排水トンネル。このトンネル工事の時に偶然、地すべりで崩壊してしまったトンネルの一部が発見されたとのこと。このような排水トンネルが山の中を網の目のように走っている。鉄道のトンネルと地すべり対策の排水トンネル。これは一見の価値がある。

 
鉄道のトンネルはこのように土砂で行く手を阻まれている。ひょっとすると山の中にはまだ破壊されていないトンネルの一部が他にも残っているかもしれない。

 

この岩が「亀の瀬」の「亀岩」。水量が少ないと顔が見えるとか。

 

竜王社。近世に大和川を運航した舟の船着き場跡と言われている。舟の運航の安全を祈って祭られた神社と言われているが、歴史は古そうで修験道の開祖・役行者が和歌山県の友ヶ島から初めて葛城山の各所に法華教を埋納していって最後の第28番目の埋納場所がこの神社の地であったと言われている。

 

ボランティアの人の話を聞き、亀の瀬の地すべりがいかなるものか良く分った。それとともに、大和川が古代から江戸時代まで物流の主要街道として機能してことも実感できた。今、大和川を見ていると船が往来するような川には見えない。だが、昔からは川幅も流水量も今とは相当違っていたはずだ。また、大和川の支流の葛城川、曽我川、飛鳥川なども、川幅や流水量が昔は相当あったのであろう。

 

亀の瀬を後にして、ひたすら大和川を遡り、生駒山系と矢田丘陵の間を流れる竜田川を遡る。

 

大和川と竜田川が分岐する地点からそれほど遠くない地点に三室山がある。実は三室山は生駒山系の最南端の方にもあり、こちらの方が本家の三室山であると先のボランティアの方は言われていた。確かにそういう気がする。竜田川の三室山は標高80メートルくらいで山というより丘である。だが、本家の三室山、信貴山方面の眺めは良い。

 

三室山の頂上の休憩場所。ここで休憩して私のお昼の定番のおにぎりを食べたのだが、風がビュービュー吹き、ちょっと恐いくらいだった。

 

竜田川を歌った和歌二首。確かに今日のような風が吹けば、紅葉も散りまくり、竜田川も錦と飾られるであろう。

 

竜田川に架かる橋は万葉の時代を思い出させるためか、このようなに朱の欄干となっている。このような橋が何本も架かっている。因みに、この川沿いが県管轄の竜田公園となっている。

 

この橋は竜田公園を楽しむ人のためのものであろう。車が通れる橋ではない。

 

竜田川を歌った和歌に基づき平群町の観光資源にするためにカエデが川沿いに植えられている。桜の木も多く植えられている。春や秋はさぞ綺麗なことであろう。この紅葉は逆光で黒くなってしまっているが、少しだけ色づいていた。秋の本格的な紅葉の季節には竜田公園(竜田川の川沿い2キロくらいが紅葉の公園となっている)はさぞ見応えがあろう。紅葉の季節に再度来てみたい。

 

竜田川をさらに遡ると謀反の罪で滅ぼされた天武天皇の孫の長屋王の墓があった。

 

長屋王の墓のすぐ近くには長屋王の妻であった吉備内親王の墓もある。

 

長屋王と吉備内親王の墓からさらに北へ行くと、古代豪族の紀氏を祭る神社があった。

 

今日の最後の目的地。竜田川を遡り、近鉄東山駅からほど近いところに、竜田川の唯一の渓流地がある。駅の案内にもある平群地方の観光名所。だが、なぜかこの渓流地に入る道が分らない。ときどきハイキングしていて思うが、山道でも肝心の分岐点や登山道に入るところに標識がない。山や観光スポットにはグーグルマップでは出てこない場合も多い。散々、人に聞いたが意外と地元の人は知らない。かなり年配の婦人がやっと教えてくれた。やれやれ、である。

 

この渓流地の馬鍬淵(まくわふち)には面白い言い伝えが残っている。言い伝えによれば、ある日、一人の百姓が川の瀬に馬鍬(まくわ)を洗いにきた。ところがこの急流に馬と馬鍬が流されてしまい二度と浮かび上がってこなかった。そこでこの淵を馬鍬淵と呼ぶようになったとのことである。まあ、確かに、ここで水遊びしたら危険なことは確かである。

 

今日の予定のハイキングを終えて最寄りの近鉄東山駅より帰る。今日の総歩行距離は、24キロほどであった。