幼い頃には気が向いてやってみたもの
すき、きらい、すき、きらい
摘んだ花にはちょこっとだけ申し訳なさを感じながら
…あ、やっぱりね
いい年をしてつい試してみた
ま、こうなるわなってわかっていても
こうしてでもすがってみてしまう自分を
せせら笑いながら
お約束通りのオチと花びらが広がっている
どうせするなら桜、それも染井吉野にすれば良かったかな
花びらは五つだから、思うようになるでしょう
でも、桜なら見る方がいいな
できることならあなたと見たかった
あなたは他の誰かと桜を楽しんでいたと聞きました
わたしには声をかけることなく
そんなにわたしは邪魔でしたか
何か粗相をしてしまっていたのでしょうか
そんなに取るに足らない程度の存在でしたか
あなたにはわたしがどのように見えていたのでしょうね
あなたの視界にも心にも居なかったということなんでしょうね
もし何もなかったかのようにあなたが声をかけてきたとしても
わたしは聞こえないふりをするから
わたしはあなたを見ないようにするから
あなたのことを忘れようとするから
想い出の欠片をすべて散らすから
花びらを散らしたように
いとおしかった、でもいまは憎らしいあなたへの
せめてもの優しい復讐