このタイミングで書くのはどうかと思われたが、偶然なので仕方ない。さて・・
ボディビル業界以外でもそこそこ知られるようになったせいか、TV出演の仕事も頂くようになってきた。その中の一つに、「ZONE」という番組出演の話があった。
「山本さんがボディビルのプロになるために努力している過程を、密着取材したい」とのこと。オリンピア観戦にも連れて行ってくれるという。これは嬉しい依頼だ。一も二もなく了承した。
しかし、制作会社の目的はそれではなかった。
家の中での撮影も照明などは点けず、オリンピア観戦でラスベガスに行ったときも、私だけ薄暗いモーテルで食事をしているシーンを撮影していた。そのときは、「ストイックなところを強調したいのだろう」と思っていた。
そして華やかなラスベガスの街を背景に、「山本さん、成功したいですかー?」と聞く。訳が分からず、まぁそうですけどそれはみんなそうでしょう的な返答をしたところ、なぜか不満なようで、何度も撮り直しをさせられた。
そして放映日、TV欄に出ているタイトルを見て、私は唖然とした。
タイトルは、「欲望」であった。彼らの欲しい画は、金持ちになるために悪魔の実を使い、能力を利用しようとする者たちのエキセントリックな生きざまだったのだ。
私は金が欲しいわけではなく、欲しいのはただ「ヒトの遺伝子の限界を超えた筋肉」だけだ。その過程でプロになれるのなら、仕事と目的を一致させられることができて都合が良い。そしてプロになるという確固たる目標があることで、よりトレーニングの効果を高めることができる。
プロにならんがために、私は過ちを犯した。JBBFに出たことは、その筆頭だ。玉利会長を含め、役員の方たちには当時謝罪しているが、選手の皆さんには私を許しがたい方も多いだろう。本当に申し訳なかったと思う。
JBBFを離れ、NPCに出るようになってから、私は解放された。戦う相手ほとんど全員が能力者だし、ルールの縛りもない。聞かれても平然と、「私は能力者だ」と答えることができる。日本の法律にも違反していない。
しかし、今でもそうだと思うが、ある程度名前を知られていて、それを公表している人物は私以外にあまりいないのではないか。なぜ隠すのか。
そう、私がZONEに出て、一番クレームをつけてきたのは、私と同じ日本人の能力者たちだった。
「なぜ、言っちゃったの?」
そう言って私を責める。「なぜ言わないんですか?」と問い返すと、「仕事に支障が出るから・・」とか、「夢を奪ってはいけないだろ?」と言う。大いに反論したかったが、これが大人の事情というものだろうと考え、私は沈黙した。
しかし、驚いたことがある。非能力者の方たちが、「良く正直に言ってくれました!これからは応援します」とエールをかけてくれるようになったのだ。
敵は多いままだが、すべてを理解してくれたうえで付き合っていける友人が増えた。公表した件については、決して後悔していない。
ボディビル業界以外でもそこそこ知られるようになったせいか、TV出演の仕事も頂くようになってきた。その中の一つに、「ZONE」という番組出演の話があった。
「山本さんがボディビルのプロになるために努力している過程を、密着取材したい」とのこと。オリンピア観戦にも連れて行ってくれるという。これは嬉しい依頼だ。一も二もなく了承した。
しかし、制作会社の目的はそれではなかった。
家の中での撮影も照明などは点けず、オリンピア観戦でラスベガスに行ったときも、私だけ薄暗いモーテルで食事をしているシーンを撮影していた。そのときは、「ストイックなところを強調したいのだろう」と思っていた。
そして華やかなラスベガスの街を背景に、「山本さん、成功したいですかー?」と聞く。訳が分からず、まぁそうですけどそれはみんなそうでしょう的な返答をしたところ、なぜか不満なようで、何度も撮り直しをさせられた。
そして放映日、TV欄に出ているタイトルを見て、私は唖然とした。
タイトルは、「欲望」であった。彼らの欲しい画は、金持ちになるために悪魔の実を使い、能力を利用しようとする者たちのエキセントリックな生きざまだったのだ。
私は金が欲しいわけではなく、欲しいのはただ「ヒトの遺伝子の限界を超えた筋肉」だけだ。その過程でプロになれるのなら、仕事と目的を一致させられることができて都合が良い。そしてプロになるという確固たる目標があることで、よりトレーニングの効果を高めることができる。
プロにならんがために、私は過ちを犯した。JBBFに出たことは、その筆頭だ。玉利会長を含め、役員の方たちには当時謝罪しているが、選手の皆さんには私を許しがたい方も多いだろう。本当に申し訳なかったと思う。
JBBFを離れ、NPCに出るようになってから、私は解放された。戦う相手ほとんど全員が能力者だし、ルールの縛りもない。聞かれても平然と、「私は能力者だ」と答えることができる。日本の法律にも違反していない。
しかし、今でもそうだと思うが、ある程度名前を知られていて、それを公表している人物は私以外にあまりいないのではないか。なぜ隠すのか。
そう、私がZONEに出て、一番クレームをつけてきたのは、私と同じ日本人の能力者たちだった。
「なぜ、言っちゃったの?」
そう言って私を責める。「なぜ言わないんですか?」と問い返すと、「仕事に支障が出るから・・」とか、「夢を奪ってはいけないだろ?」と言う。大いに反論したかったが、これが大人の事情というものだろうと考え、私は沈黙した。
しかし、驚いたことがある。非能力者の方たちが、「良く正直に言ってくれました!これからは応援します」とエールをかけてくれるようになったのだ。
敵は多いままだが、すべてを理解してくれたうえで付き合っていける友人が増えた。公表した件については、決して後悔していない。