脂肪とプロスタグランジンの関係については、15年ほど前にボディビル系掲示板で紹介して以来、これまでに何度も書いている。
当時に比べると活性酸素のことなどは知られるようになってきたけど、プロスタグランジン(以下PG)については、医者などもあまり詳しくない人が多いようだ。

Use of dietary linoleic acid for secondary prevention of coronary heart disease and death: evaluation of recovered data from the Sydney Diet Heart Study and updated meta-analysis
http://www.bmj.com/content/346/bmj.e8707

↑はリノール酸(サフラワー油)と飽和脂肪酸を比較したところ、リノール酸摂取群のほうが冠動脈疾患・心血管疾患による死亡率を増やしたという研究。

肉などに多く含まれる飽和脂肪酸よりも、多価不飽和脂肪酸であるリノール酸のほうが心疾患には良い・・というのが未だにアメリカなどでもコンセンサスとなっている。
でもこの研究ではリノール酸摂取群のほうがダメだったということで、大騒ぎになっている模様。


しかし、リノール酸はジホモガンマリノレン酸から1系統PGともなるし、アラキドン酸を経て2系統PGともなる。

で、2系統PGは、血を固まりやすくしたり免疫を下げたり炎症を惹起したりなど、あまり良くない作用が多い。
肉に多いアラキドン酸は2系統PGを増やすので、心臓にはよくないとされている。

しかし、上記で説明した通り、リノール酸もやはり2系統PGとなる。この変換を抑える方法については、別に書こう。たぶんこのブログでも前に書いているかも。

さてリノール酸は2系統PGとなりうる他に、「酸化しやすい」という多価不飽和脂肪酸の弱点を持っている。過酸化脂質の増大は、心血管疾患の原因となりうる。だからこの研究は、ある程度結果が予測されているってものなのだ。

サプリメント否定派の医師のブログなどでは、この研究を引き合いに出して、「EPAやDHAに関しての疑念が・・」なんて書いてあったりする。

$ランボー、クレー、モーツァルト あるいは不思議の環

言うまでもなくEPAやDHAはオメガ3.リノール酸はオメガ6.全然違うのだ。そしてEPAは3系統PGとなり、2系統PGの悪い作用を抑えてくれる。だからEPAは薬剤としてもつかわれているくらいなのだ。