ココアダイエットやモズクダイエット、バナナダイエット、そしてトマトダイエットもあっという間に終焉を迎えたようだ。しかし昔からある食事法・ダイエット法は、忘れたころに復活してくる。

その一つが「マクロビオティック」だ。玄米を主食とし、野菜や漬け物を副菜とするこの食事法は、「健康によい」とか「ダイエットによい」などとして半世紀ほど前から広まり始め、最近になってまた話題になってきた。

マクロビオティックの提唱者と言えば、「桜沢如一」を挙げるのがもっとも適切だろう。さて1925年に出版された彼の著書「食養学原論」から一部を引用してみる。

『すべての物の中のナトリウム・カリウムの種類、多少によって、その物の強弱、盛衰、善悪が定められます。それを度外視した栄養論は一切無価値』

『大宇宙はこのナトリウム・カリウムの形を借りて、ナトリウム・カリウムを集めてはじめて天地万物を創るのです』

『魚や肉の赤身は、動物性ナトリウムの猛烈なものであるから、これを常食すると恐ろしい病気になる。コレラ・チフス・赤痢(以下略)の原因なり』

もう引用は十分だろう。つまり、まったく非科学的だということだ。桜沢如一はニューヨークである少年の病気を治そうとして水を禁じ、少年は亡くなった。そして告訴された。また米国医師会は1967年にマクロビオティックに固執することによって壊血病と栄養失調が引き起こされると報告している。

タンパク質やビタミンの不足が免れないマクロビオティックであるが、それまで美食にふけっていた人がやれば、一時的には効果があるかもしれない。玄米はよく噛まないと食べられないため、咀嚼を行うことによる満腹感が得られる。だから少量の食事で事足りるため、ダイエット効果は見込めるだろう。しかし長期に続ければ、栄養失調になるのは間違いない。

なお玄米にはフィチン酸が含まれており、ミネラルの排出を促進してしまう。お年寄りに背骨の曲がった人が多いのは、タンパク質とカルシウムの不足による骨の弱化によるものだ。ただし最近になって発売されるようになった発芽玄米ならフィチン酸が分解しているため、大丈夫である。