バルクアップを狙うなら、一度に大量に食べるのではなく、何度も小分けにして食べるべきである。これについては言い尽くされた感もあるが、「眠っているときにも起き出して、一度プロテインを飲んでからまた寝ると良いですよ」と勧めると、「そこまではちょっと…」と尻込みしてしまう人も少なくはない。

さて就寝中というのは長時間にわたって栄養摂取ができないため、血糖値はどうしても低下する。低血糖になると、肝臓の「糖新生系」によってグルコースが合成されるのだが、その原料となるのは主に筋肉のタンパク質分解によって供給されるアミノ酸(グルタミンやアラニン)なのである。

また、例えばアラニンを例にとると、グルコース一分子を合成するために6分子のATPが必要となる。さらに-NH2を尿素にするために2分子のATPが必要になるため、トータルで8分子のATPが消費されることになってしまう。空腹になり、糖新生系が活動するということは、ATPを大量に使ってしまうことになるのである。これがバルクアップの妨げとなることは論を俟たないだろう。

さて、私たちの肝臓は1時間に6gのグルコースを合成することができる。このとき、全て筋タンパク質が原料になるとすると、1時間に約8gの筋タンパク質が分解されてアミノ酸が供給される計算になる。これが就寝中の6時間にわたって続いたとすると、合計で50g弱となり、筋肉の重量(水分含む)に換算すると250gとなる。4日で1kgの筋肉が失われてしまうわけだ。

本当に真剣に「筋肉を増やしたい」と思うのなら、寝る前に飲むプロテインを少し多めの水に溶かしてみよう。すると自然とトイレに起きることになる。そこで冷蔵庫に作り置きしたプロテインを飲んで、またベッドに入ればよい。