あ、クラシックの話なので興味ない人はここでさようなら。


「好きなピアノ協奏曲を10曲選べ」と言われたら、モーツァルトだけでかなり埋まってしまいそうだけど、古今の名曲でもあり、個人的にコレは外せないというものとして、


ブラームス:ピアノ協奏曲第2番


が挙げられる。


もちろん第1番も好きだし、これについては前にも「ゲルバーの演奏に止どめを刺す」というようなことを書いたはずだ。

でも、第2番については書いたことがなかったと思う。


ブラームスの協奏曲について、オーケストラのパートが充実していることが、その特徴の一つとして挙げられることが多い。

特に第1番の序奏など、そこらの交響曲よりも遥かに優れた推進力と気宇の壮大さを併せもち、そこに詩味に溢れたピアノのソロが入ってくると、そのコントラストに聴き手は思わずため息をつきたくなる。


さて、第2番である。


この曲は1881年に完成された。第一番の完成は1857年。実に四半世紀ぶりのピアノ協奏曲だ。


協奏曲はソリストの技巧を披露する場だ、しかしこの曲は技巧は強調されて聴こえないわりに演奏の難度は高いとされる。特に手が大きくないと演奏は難しく、女性ピアニストの録音は非常に少ない。


・・なんてことはどうでもいい。


この曲の特徴は、その「歌謡性」にある。ブラームスはジプシーの影響を強く受けているのだが、民族音楽を精神的な高みに止揚し、それでいて大衆的な歌謡性を残したところに、この曲の、他の曲では代えることのできない素晴らしさがあると私は思う。


私のもっとも好きなヴァイオリン協奏曲は、ヴィオッティの第22番だ。ここにもやはり心を底から揺さぶる歌謡性が感じられ、それでいて通俗的でない。チャイコフスキーなどとは全く違う。


ブラームスもこの曲を賛美したという。ピアノ協奏曲第2番には、ヴィオッティのヴァイオリンコンチェルトの影響があるんじゃないかな、なんて考えることも。


前フリだけで長くなっちゃった!


さて演奏はいろいろあるけれど、少し前まではギレリスが好きだった。しかしバックハウスもそうだけど、歌謡性に焦点を合わせてみると、どうも彼らはキャラが合わない。指揮者も同じく。


むしろ歌の国であるイタリアのポリーニなどが上手く弾いている。トスカニーニとホロヴィッツも良いんだけど、録音がイマイチ。


・・なんてことを思っていたときに、出会ったのが、


カラヤン&リヒター・ハーザー の演奏だ。1958年の録音だが、音も悪くない。


先に書いたように、ブラームスの協奏曲はオケのパートが重要である。この演奏では、カラヤンが指揮するベルリン・フィルが本当に素晴らしいのだ。


謡っている。


スウィングしている。


偉大なフルトヴェングラーの後を追いかけていたカラヤンの、この時期こそがまさに彼の絶頂期であろう。


60年代、70年代と下るにつれて、カラヤンの芸術はオペラを除き、低迷していく。

ただ、本当の晩年になるとコントロール力が失われたお陰で、かえってモーツァルトなどでは良い演奏を残している(交響曲第29番など)から面白い。


チャンピオンの意地というものもあるけれど、頂点に立ったあと、そのレベルをキープするというのは難しい。どうしても、目標を追いかけているときのほうが、特に芸術の世界においては良いものを造り上げることができるんじゃないだろうか。