では、どんな種類の脂肪を摂れば良いのだろうか。


脂肪には多くの役割があるけれど、中でも「エイコサノイド」という局部的に働くホルモン様物質の生成についてのことが、とても重要。実際、私たちの身体は、その全ての細胞がエイコサノイドを生成し、細胞の生理的機能を制御しているのだ。


 例えば出血した時に、血液が自然に固まって流れなくなるのは、アラキドン酸由来のエイコサノイド「トロンボキサンA2」の血小板凝集作用が働くから。

ただし、その血小板凝集作用が強く働きすぎると、今度は「血栓」が作られてしまい、最悪の場合、冠状動脈疾患を引き起こす事につながることもある。


そして、逆に「血栓」が作られないように抑制するのが、やはりエイコサノイドの一つ、プロスタグランジン(以下PG)の中のある種のもの。

このように、様々なエイコサノイドが互いに影響しあって、私たちの身体の機能が調節されているんだよ。




 さて、ここで代表的なエイコサノイドであるPGに注目して見よう。大雑把に言ってPGには1,2,3、と3つの系統がある。


1系統(PG1)はγリノレン酸から作られ、2系統(PG2)はアラキドン酸、3系統(PG3)はエイコサペンタエン酸(以下EPA)から作られる。


そして1系統のPGには血管拡張作用、血圧降下作用、cAMPの増産、コレステロール合成抑制、炎症抑制、T細胞活性化(免疫上昇)、肝障害予防など、かなりありがたい作用がある。


しかし2系統のPGの中には、炎症を促進したり、免疫を低下させたり、TNF(腫瘍壊死因子)の産生を抑えてガン細胞を増殖させたりと、あまりいただけない作用を引き起こすものがある。


乱暴な言い方だけど、1系統を善玉、2系統を悪玉というように分類することも可能。また3系統は1系統と同様、善玉に分類される。