ビタミンの体内での働きとはなにか。それは数多くあるが、主なもののひとつが「補酵素」としての働きである。つまり、酵素を補助する働きだ。
例えば・・そう、GABAが作られるときのことを考えてみよう。GABAはグルタミン酸に、アンモニアと「グルタミン酸脱炭酸酵素」が働くことによって作られる。
ただし「グルタミン酸脱炭酸酵素」は、そのままでは上手く働かない。ビタミンB6が結合することによって酵素の形が変わり、そこではじめてグルタミン酸やアンモニアを受け入れるレセプターが作られるのだ。
さて、カラダの中ではグルタミン酸もアンモニアもグルタミン酸脱炭酸酵素もビタミンB6も、すべてがブラウン運動によって「ゆらいで」いる。つまり、それらが「偶然出会うことによって」、はじめてGABAが作られるということなのだ。
ここで考えるべきなのは、「酵素の形は個々によって違う」ということだ。正確にいうと、DNAが違う以上、酵素タンパクのアミノ酸配列は個人個人によって全く違うということ。
すなわち、グルタミン酸脱炭酸酵素の形も、人によってそれぞれだということになる。
となると・・・ビタミンB6に結びつきやすい形のグルタミン酸脱炭酸酵素を持っている人、結びつきにくい形のグルタミン酸脱炭酸酵素を持っている人がいることになる。
これがすなわち「体質」である。B6に結びつきやすい形のグルタミン酸脱炭酸酵素のDNAを持っている人は、GABAを作りやすい。GABAを作りやすければ、血圧も高くなりにくいし、集中力も高いというわけだ。逆にB6に結びつきにくい形のグルタミン酸脱炭酸酵素のDNAを持っている人は、GABAができにくく、血圧が上がりやすい。
ビタミンに結びつきやすい形の酵素、結びつきにくい形の酵素があり、それはDNAによって決定される。
さて、酵素がビタミンと結合するところを「レセプター」と呼ぶ。このレセプターの形も当然DNAで決定され、それがビタミンに結びつきやすい形をしているかどうかで、代謝がスムースに行くかどうかが決まるわけだ。
ただし、このレセプターは「ゆらいで」いる。もともと結びつきにくい形をしているレセプターでも、たまたま結びつきやすい形になる瞬間がある。そのときにちょうどビタミンが来れば、両者はめでたく結合できるということ。
もちろん、もともと結びつきやすい形のレセプターだったら、もっと簡単に結合できるわけだ。
ここで、ビタミンと酵素が100回ぶつかって、そのうち1回だけたまたま結合できる確率だったとする。しかし、ビタミンの分子が100倍あったらどうか。
そう、1回ぶつかるだけで、酵素に結合できる確率になるわけだ。
すなわち、体質的に結びつきにくい形の酵素だったとしても、ビタミンの濃度が高ければ、酵素との結合確率(確率的親和力)が高まる。ということは、ビタミンを大量摂取することによって、体質上の弱点を補えるということなのである。
風邪を引きやすい人は、インターフェロンの合成能力が低い。ビタミンCがインターフェロン合成酵素と結びつきにくいのだ。しかし、大量にビタミンCを摂取することによって、インターフェロン合成能力を、風邪を引きにくい人と同等にすることができるわけだ。
こう考えると、ビタミンというのは必要量を摂っていれば良いというわけでないことが、良く分かる。必要量の数倍とか数十倍、数百倍を摂取してはじめて、体質上の弱点を補えるのである。
もちろん、もともと「ビタミンと結びつきやすい酵素」のDNAを持っていれば、大量摂取の必要はない。しかし、たとえばビタミンCにしても、インターフェロン合成だけでなくコラーゲン合成やコレステロール低下、肝臓解毒機能強化、尿路感染症予防、IQ向上、ステロイドホルモン合成などなど、さまざまな機能を持っている。
この全てにおいて、それぞれの酵素が必要とされる。だから風邪を引きにくくても、コラーゲン合成に弱点を持っているということはありえる。誰でもどこかしら、体質上の弱点を抱えているわけだ。