秋田蕗摺 | 世界一周を夢見た男のblog

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後日談です。

 

 

 

蕗摺は、秋田の代名詞とまでいわれる天然の大きな秋田蕗そのものを、美術的に優雅に襖紙、その他、手布などに摺り込んだもので普通の染物と異なり、蕗のいきいきした天然の姿が摺り出された気品の高いものであります。蕗の組織をなす茎の節はもとより、葉の末端における大小の葉脈の末にいたるまで、その真姿を鮮やかに摺りたて得ていることは本蕗摺の長所であります。
また、蕗の実物を保存し、冬季であってもこの天然の実物を用いて、世人の愛好と需要にこたえ得ていることも長所の一つであるともいえましょう。
しかも、この貯蔵方法と摺り込み方法については、文久二年に祖父の開いた事業であって、染色については色のあせない格調高い緑色は、初代精次郎の発案によるもので、摺り染めと染色の技法は創始者精次郎から二代目精之進、三代目精次郎、四代目尚一郎と受け継がれ、現在は五代目力が一子相伝の秘宝として継承しているところであります。
このような摺り物としては、全国に類のないものであります。したがって、この蕗摺にそそがれた技術と苦心の程度も、世の中に知られておらないので、ここにその一端を申し述べ、各位の一層のご愛顧を願うものであります。

宮越 力

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