政治には「ねじれ」が必要 | 沈みかけ泥舟のメモ

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今回の参議院選挙で自民党と公明党は
衆参の間で与党と野党の数が逆転している
「ねじれ」を解消しようとしています。

衆議院で通した法案が参議院で否決されても
衆議院で三分の二以上の賛成があれば
法案を通すことが出来るというシステムなので、
現在のように自民党公明党で衆議院の大半を占めている状態なら
どうしても通したい法案なら必ず成立させられます。

とはいえ、手間が一つ増えるので時間がかかり
通せる法案の数が減ってしまいます。

その手間を減らすために参議院でも過半数を獲得し
政府と与党が作った法案がいくらでも成立させられるようにしたいわけです。
政治にはスピード感が必要だとは言われますが、
一方で同じ考えを持っている人たちだけの都合で法律が作られていけば
少数派や反対意見を持つ人を無視することにもなります。

政治の世界では「ねじれ」が重要だったりもするわけです。

例えば、アメリカは共和制国家ですから、
ほぼ直接選挙に近い形で元首である大統領が選ばれます。
日本では総理大臣が与党の代表が選ばれる形なので
政府と議会は基本的に対立しません。
ですが、アメリカは大統領と議会が別々に選ばれるので
大統領が属する政党ではない政党が与党になることも少なくありません。
そのためアメリカでは大統領が違う立場の与党に対して
歩み寄れる法案を提案していくことがよくあります。
政府の運営が常にギリギリの交渉になっているわけです。
もちろん、二大政党である共和党と民主党が
主張を曲げないけれど妥協点を探るという
「大人の対応」を出来るという成熟した社会だからこそ成り立つわけですが。

日本では自民党から政権を奪うために民主党が足を引っ張ったり、
民主党が政権についたら福島県や東北の復興が遅れるとわかっていても
自民党が政権の足を引っ張るという
子どものケンカレベルの政治が行われていますから
衆参がねじれている状態で妥協点を探りながら政治を動かすなんていう
大人の国家運営はとても望めませんけれど。
中国や韓国もそうですが、アジアの政治はまだまだレベルが低いなと思います。

ねじれは政権と議会の話だけではありません。

自民党は企業や経営者の味方ですが、
経団連などに「社員の給与をアップすること」を提案しました。
本来は共産党など労働者の味方を自認する政党が行うことです。
しかし、労働者の味方で経営者の敵である政党が「給与アップ」を提案しても
無視してしまうだけです。
企業や経営者に有利な政策を続ける自民党だからこそ
経営者は簡単に断ることが出来ないわけです。

これはドイツでも過去に起こったことです。
シュレーダー首相という人は労働者の味方である政党から出た首相だったのですが、
ドイツの生産力を向上させるために人件費の抑制や社会保障抑制を決めました。
これは安倍自民党が給与アップを提案したことと逆の出来事です。

政党の主張と行為がねじれているわけです。
しかも、ねじれているからこそ可能な政策と言えます。

もし、日本で自民党などが財政再建のために社会保障カットなどを行いたいなら
社民党や共産党など労働者の味方である政党を政権に取り込み
説得に当たってもらうというような根回しが必要なのかもしれません。

政府や与党は面倒な根回しや交渉をせずに
政権を運営したいんでしょうから「ねじれ」は嫌がりますが、
国民としてはねじれが重要なのかもしれないと思います。

泥舟、参議院選挙でねじれが解消されたらどうなっていくのでしょう。