そして、
最初で最後の真っ向勝負。
渾身のストレートを投げる比呂、
そのボールをバットに当てる英雄だが、当てるだけで精一杯でファール。
そして真っ向勝負2球目を投げる際に比呂は心の中で英雄に問い掛ける、
「真っ向勝負なんて言葉は…
(ひかりにもう一度選ばせるという言葉は…)
バッターにとって都合のいい…
(英雄にとって、自己満足でしかない…)
きれいごとだぜ!
(偽りな心なくせに!
誰よりもひかりが大切で好きなくせに!)
ジャストミートでボールを捕らえた英雄。
下を向いた比呂。
(しまった…。(邪念が入ったし。)
しかし、
上空は凄い風が流れていて、ホームランだったがコースがわずかにズレ、
ファールとなった。
また甲子園の大きな旗頭が上空でなびいていたのが、断固反対!と言わんばかりだった。なぜ?
描かれている旗が風がなくなりおさまった時、【フ…】という言葉も描かれていた。
あたかも『誰かが笑ってるかのように…』、
風を吹かせたかのように…。
その旗を比呂は見つめており、きっと『誰だか』理解した。
「ちくしょう……♪、
どうしてもオレに勝てって……か。」
(ひかりママだ。
ベンチの壁に笑っているひかりママの写真を貼ってた比呂、英雄との勝負の女神はひかりママだから。
比呂ちゃんの負けは違う、勝って二人に解らせないとね。
などが想像できる。
ただひかりが大好きな比呂にとって、心が痛い事に変わりなく、
でもひかりママが『勝つ事が正解』だと言ってると。
ひかりの恋心は英雄なんだと、改めて教えて貰った瞬間だった。
そして改め、心にけじめをつけ、
最後の1球前、比呂は心で言う、
「100%ストレートしかないってか?
それだよ英雄、忘れるな、その『融通』の利かねえバカ正直さに…
ひかりは惚れたんだ。」
(最後に改め、英雄がひかりに対する想いをしっかり感じ、その大切な気持ち、忘れるなよ、任せたぜ、ひかりを。と、自身の心に終止符をうち、)
渾身の『高速スライダー』(曲がる球)を投げた。
(解らせる為に。)
英雄はその瞬間の心は、
「ストレート!」
…
ど真ん中ストレートで英雄を三振。
涙が出た比呂。


