昭和天皇独白録 (文春文庫)/寺崎 英成


昭和天皇自らが、張作霖爆死事件から終戦に至るまでの経緯を


昭和21年に側近の5人に4日間計5回にわたって直々語った


歴史的資料。1990年に発掘、公開された昭和史の超一級資料


と言える。


戦前、戦中の昭和天皇の苦悩、苛立ちが明らかになっていて、


今まで決して知ることの出来なかった昭和天皇の戦争に対する


考えを垣間見ることが出来る。


もし開戦の閣議決定に対し私が「ベトー(拒絶)」をしたならば、


いったいどうなったであろうか。


時の経つにつれ、段々石油は無くなって、艦隊は動けなくなる、


人造石油を作ってこれに補給しようとすれば、日本の産業を


ほとんど、全部その犠牲にせねばならぬ、それでは国は


亡びる、かくなつてから、無理注文をつけられては、それでは


それでは国が亡びる、かくなつてからは、無理注文をつけ


られて無条件降伏となる。


私が若し開戦の決定に対し「ベトー」したとしよう。国内は


必ず大内乱となり、結局狂暴な戦争が展開され、今次の


戦争に数倍する悲惨事が行はれ、果ては終戦も出来かねる


始末となり、日本は亡びる事になつたであろうと思ふ。


立憲君主にあくまで徹した故に、相当の苦悩をされた様子が

ありありと伝わってくる。