昨日試聴したレコードはオリジナル盤は1955年録音、Prestegeのリイシュー盤は1970年、日本ビクター盤は1984年発売で現在のハードウェア状況とは異なると思われるので最近の復刻盤との比較試聴と音質差の原因を推察しました。

 

今回試聴した復刻盤はソニーミュージックから発売されている「ジャズ・アナログ・レジェンダリ―・コレクション」(2020年~)のPhill Woods Quartet 「Warm Woods」です。オリジナルはEpicレーベルで1957年の録音です。

 

ジャズ・アナログ・レジェンダリー・コレクションは季刊「アナログ誌」Vol.69によればアメリカでのオリジナル マスターからデジタルマスタリング(192KHz/24bit)で、カッティング、プレスは日本。カッティングマシーンはノイマンVMS70でカッティングマシーンの入力D/Aコンバーターで音色にかなり変化があった有ります。

    <オリジナル>

        

    <ソニーミュージック盤>

        

 

比較試聴ではやはりオリジナル盤のほうが勝り、特にベース音にしまりがなく(例えが悪いですがユルフンベース)、as,p音にも艶やかさが失われている感じです。

 

昨日の比較試聴を含めて音質差を推察してみました。

1.マスターテープ

マスターテープは鰻屋のたれのような門外不出扱いだと思われるので、日本で製作する場合は子コピー版や孫コピー版と思われます。テープでは転写による劣化もあるので約60年前の録音ではその管理法が重要になるし、多くのマイナーレーベルは経営不調でメジャーレーベルに移譲しています。(昨日の日本ビクター盤はFantsy Record所有のマスターを使用しているようです)さらに今回はデジタルでのリマスタリングで先のAnalog誌でなるべくオリジナルに近付けるようにしたと有ります。

2.カッティング工程

1950年代はまだ真空管世代なのでカッティングマシーン駆動アンプは真空管アンプだと思われます。日本キングレコードが1990年頃発売の「The Super Analogue Disc」では真空管アンプをヘッドアンプ、駆動アンプに使用していて現在のDirect Cutting Discでも真空管アンプを使用していると聞いた事があるので、レコードメーカーによってカッティング工程が異なっていると推測されます。

 <The Super Analogue Discでのカッティングマシーン構成の説明書>

 

他にもリマスタリング時での音作り、プレス工程等要は音質差が生じるのは当たり前だと思われます。それでも約50年前に作られたレコードの音を越えられないのはあまり進歩していないんでしょうね。

 

音楽は「音を楽しむ」のが本分で重箱の隅を楊枝でほじるような事をしても?と言われるかもしれませんが、好きな音楽を良い音(好みの音?)で聴きたいとの思いです。