発表会や人前で演奏する時、ふとこんなことを感じた経験はあります?

「あ!緊張してきたな…」

そんな思いが頭をよぎると知らないうちに肩が上がり、腕や肘が固まり、体全体に力が入ってしまいます。トリプルパンチ。


私自身も何度も経験してきました。

弾いているうちに肩がコチコチになり、腕が自由に動かなくなる。指は動いているのに、音楽の流れに乗れない。どっか苦しくて、自分らしい演奏ができない。


そんな時、私が意識したことがあります。


それは、曲の中にある力を抜くポイントを見つけるのだ。


例えば休符の瞬間。フレーズとフレーズの間。

そこでひと息吸ってみる。少し姿勢を整えてみる。

鍵盤に近づきすぎていた体を起こし、胸を開いてみる。


すると不思議なことに、固まっていた体がふっとゆるみ、再び音楽の流れの中にカムバック。


演奏はずっと力を入れ続けるものではなく、呼吸をしながら進んでいくものなのだと思いますね。


レッスンでは生徒さんにもよくお話ししています。もちろん、最後まで止まらずに弾くことや、音を間違えないことは大切だ。

でも、それだけが音楽ではありません。


ここはどんなふうに歌おうかな、このメロディーの美しさをどう伝えようかな


そんなことを考えながら弾くことで、音楽は生き生きとしたものになります。


今の時代、正確に音を並べるだけなら機械やAIにもできるかもしれない。しかし人の心を動かす演奏は、人にしかできません。同じ曲を弾いても、一人ひとり表現は違います。

私は生徒さんたちに、ただ正しく弾くことだけではなく、自分だけの音楽を見つけてほしいと思っています。


演奏とは、音を並べることではなく、心を届けることね。

その曲をどんなふうに感じ、どんなふうに歌いたいのか。

その気持ちこそが、聴く人の心に届く音楽になるのであろう。