聡はもともと
煙草を吸う女がキライだった。
特に
煙草の吸殻に着いた
口紅の跡を見るのが嫌だった。
でも喫煙所に居た
その女は、
まるで聡の存在は無く
部屋で一人で くつろいでいるかのように
警戒心がなかった。
聡はゆっくりと煙草に火を点けて
女の横顔を見た。
顔の上半分
白い眼帯で覆った聡の残った左目は
この上なく不恰好で、
俯いたまま
隙間から女の口元を盗み見る。
女は
煙草を吸うときに
まるでキスを楽しむかの様な表情をした。
その女の顔に
聡はなんとなく気分が解放され、
体に
欲求を覚えた。
聡は
それを女に気づかれないように
喉元で すう と
煙を吸い込んだ。
* 次記事「眼帯の男」に続く。