母

今日は母の誕生日

その誕生日を迎える事なく

天国へ逝ってしまいました

母は四十代前半で難病と診断され

それから徐々に進行し

父と妹と私で介護の生活が始まりました

三十年間

ほとんど妹が頑張ってくれました

同居はしていなかったので

毎週末は妹と交替で帰省し

平日はヘルパーさんやディサービスへお世話になり

ご近所さんにもたくさん助けて頂きました

我が子の小さなオムツを替え

母の大きなオムツを替える

今で言うダブルケアです

我が子のベビーカーと

母の車椅子

いろんな場所へ出掛けました

旅行もたくさん行きました

母は面白い人で

母の周りはいつも笑いで溢れていました

８年前

父が末期がんと診断され

家族で話し合い

母は施設にお世話になる事に決めました

母も望んでの事です

六十代半ばで施設入所

施設の中では１番若い

申し訳ない気持ちもありましたが

とても良い施設で

季節ごとのイベントが盛大に行われ

私たちも参加し

たくさん楽しませていただきました

母は難病の薬の影響で

認知能力が低くなり

会話がままならない事もありました

しかし

『私は幸せ』

と良く口にしていました

母は自分の事は二の次三の次で

人の為に生きて来たような人です

病気になるまでは

私は母が眠っている姿を見た事がありません

舅姑と同居だったので

２人に尽くし

父に尽くし

家に尽くし

仕事で朝が早く帰りの遅い父の代わりに

１人で家を守り抜いてきました

施設にお世話になってからも

外出、外泊届けを出し

たくさんお出掛けをしました

車椅子で旅行にもたくさん行きました

コロナで面会禁止になり

母に会えなくなり

どんどん衰えていきました

施設の事は妹にすべて任せていました

偶然にも母の入所する施設近くに

お嫁にいった妹

住まいは私の家の近くですが

旦那さんの実家に毎週末帰省するので

リモート面会や

ドア越しの面会

全て妹がしてくれました

私はコロナ禍の３年間

母には会いに行きませんでした

妹がテレビ電話を繋いでくれて

母の顔を見せてくれる

そんな３年間でした

今年の４月１日

ガラス越しに母に会った

ほぼ寝たきりの状態になり

会話も出来なくなっていた

こちらが言う事は理解できているようで

ずっと笑顔だった

母の笑っている顔を直接見たのはそれが最後

直接面会が出来るようになった頃には

仕事を始めていて

母に会いに行ける状態ではなかった

夏休みになったら

子ども達と会いに行こう

そう思っていたのに

行動しなかった私

急変し、救急車で運ばれた時も

病院でコロナが増えているからと

会う事が出来ず

次の日に母は逝ってしまいました

妹は病院に着いた直後に

苦しそうな母に会い

とても心配していた

私は母の苦しむ姿を見ていないので

とにかく祈るしかなかった

七十代になったばかり

まだまだ生きていてほしかった

息を引き取った後

たくさん抱きしめた

たくさん触れた

たくさん話した

また一緒にいろんな場所へ出掛けたかった

母と一緒に笑って楽しい時を過ごしたかった

父の事も母の事も

空き家の家の事も妹任せ

そんな私が喪主なんてしてはならないと思った

いや、最期だけは長女の私がしっかりと送ろう

と心に決め

人の為に生きてきた母の為に

一般葬で押しきった

周りは家族葬でと言ったけど

コロナ禍で会えなかった人たちに

母を会わせてあげたかったし

たくさんの人に母に会ってほしかった

いつも笑っていた母を

最期は笑顔で送って下さいとお願いした

妹と最期の最期まで

笑って楽しく送り出した

私はただ喪主を務めただけで

すべての事は妹がやってくれた

後の事も動いてくれている

妹に頼ってばかりの私

母が妹との溝を埋めてくれた

母からのメッセージだと思っている

妹といろんな事を話した

お互いに

子どもの頃からのいろんな思いを

正直に打ち明けて

記憶の整理をして

お互いに対するコンプレックスや

想いを整理した

私は妹と比べられて自己肯定感が低すぎる事

妹は子どもの頃の自分や家族の記憶がない事

話し合って原因も分かってきた

これから先、生きやすくなれるように

少しずつ話し合い

２人で協力して生きたい

お母さん、孫が出来てからはばぁば

お疲れさま

こんな娘でごめんね

妹と仲良く協力して生きていくから

心配せず

笑って過ごしてね

お誕生日おめでとう

ケーキを買いました

ばぁばのお祝いをします