職場から最寄り駅までは、歩いて行ける距離ではない。

 

それもあり、県外出張する場合、

 

(時間にもよるが)自宅から直行する人も珍しくない。

 

されど私は、自宅から駅に行くのも面倒臭い。

 

都会の人なら気にせず歩くのかもしれないが、

 

普段からどこに行くのも車の私。

 

暑い中、荷物を持って歩きたくない。

 

 

一番いいのは、職場から車で駅に向かい、駅周辺に駐車すること。

 

ただこれだと、駐車場が空いていない場合に困る。

 

以前、新幹線の発車時刻が迫っているのに、

 

駅周辺を半泣きでグルグルした時があった。

 

やむを得ず、職場から駅までタクシーに乗る。

 

安心だが、料金は駐車料の5倍以上!

 

 

その日、余裕をもって予約した時間の、

 

さらに10分前に職場に行くと、

 

私が乗るべきタクシーが、すでに玄関前に停まっていた。

 

年配の運転手は、今来た風でもなく新聞を読んでいる。

 

あまり早く着きすぎても…と思ったが、することもないので乗車。

 

珍しく自動ドアではないタクシーで、執事のように開閉してもらった。

 

乗り込んですぐ、運転手のスマホが鳴った。

 

「時間があるので出て大丈夫ですよ」と伝えると、

 

手に持たず話せる、スピーカーの設定にして車は動き始めた。

 

直後、年配女性の気を遣わない声が車内に流れた。

 

「釜のご飯、払ってくんの忘っちゃんだで!」

 

仕事の電話かと思ったので、笑ってしまった。

 

「家内が、今日出掛けるようで朝からバタバタしてまして」とのこと。

 

この運転手、私が「あまり詳しくない」と言っているにも関わらず、

 

株価の話を延々としていて少し疲れた。(今回の暴落の前の出来事)

 

 

駅に着くと、周辺駐車場にはいくつか「空」の表示が見えた。

 

悔しい。けれど来てみなければ分からないことなので、

 

諦めるしかない。

 

 

帰りは、二度見するほど若い女性ドライバー。

 

茶髪でピアスをしている。

 

見た目で判断は良くないと思うが、

 

特にオジサンには、年とか聞かれるだろうな。

 

酔っ払いに絡まれたら大丈夫だろうか、と心配になってしまった。

 

敢えて余計な発言をしないように努めたが、

 

「クーラー寒くないですか?」とか、

 

(職場ビルまでだったため)「お仕事お疲れ様です」とか、

 

なかなか感じが良かった。

 

きっと運転や人と接することが好きなんだろう。

 

大変な仕事だと思うが、嫌な思いをすることなく、続けてほしいと密かに願った。