夜。蛙の合唱は耳に障らないのだが、
鳥がうるさい。
この時期、一晩中鳴くのはホトトギスで、それも不気味で苦手なのだが、
今年は「ケリ」がやってきたかもしれない。
ネットで鳴き声を検索していたこの声が聞こえて、煽ってしまったか?
と、恐怖を覚えるほど鳴き続けている。
もしもケリなら、この辺りでは絶滅危惧種と載っていたが、
そう言われても、絶えず聞き続けるのはうんざりする声だ。
近所も同感だろうかと、隣に住むイトコにLINEをしたら、
「ピィピィ言ってるから、長渕って呼んでるよ」
と斜め上の返信があった。
*
そんなやり取りをした翌日、仕事でホテルに泊まった。
同室の仲間のイビキが物凄く、
屋外の鳥の声くらい、気にするに値しなかったと思いながら一夜を明かした。
*
ふと気づくと、ケリ?の声はもうしない。
この一週間で、婚活が無事終わったのだろうか。
思い返せば、朝4時頃から大騒ぎしていたキジの兄さんも、鳴りを潜めたようだ。
季節が先に進むのを感じる。
「都会の喧騒を離れて…」とかいう言い回しがあるが、
田舎もなかなかに騒々しいのだ。