気まぐれに、前月より10日ほど早く、かかりつけ医に行った爺。

 

仕事から帰った私に、

 

「オレ、嘘ついちまった…」と話し始めた。

 

 

カルテを見た先生に、

 

「いつもより早いですが、調子悪いところありましたか?」

 

と問われて、

 

なぜだか分からないが、とっさにこう答えたらしい。

 

「ちょっと来週は出掛ける用があったもんで」

 

普通はそれで、「そうですか」で済むと思う。

 

が、そこはヒマな地域に根差した町医者。

 

「あら、どちらに?」と質問を重ねてきた。

 

「北海道に」(なんでだよ!)

 

「向こうもこれから良い気候でしょうから、

 楽しみですねぇ…」

 

「いや、法事なんです」(なんでだよ!)

 

「あーそうでしたか。新幹線で?」

 

「いえ、飛行機で!」(ハイ回答の方が楽でしょうに!)

 

 

よくもまぁこんなにペラペラと呆れる。

 

自ら楽しそうに報告しているから、

 

認知症などによる虚言ではないようだが、

 

一度ウソをつくと、またウソを重ねることになる。

 

飛行機は、出張のため調べたが、

 

往復で7万円もするのだ。

 

わざわざ法事で、85才が行くだろうか?

 

金銭的にも体力的にもご遠慮いただきたい。

 

医者はそこまで考えないとは思うが、

 

来月、覚えていて「どうでした?」とか聞かれた場合の、

 

模範解答を用意しておきたい。