図書館から借りて、何気なく読んだ森絵都の「獣の夜」。

 

いくつかの短編のなか「明日天気に」が良かった。

 

*ネタバレ注意*

 

 

 

高校3年の時、親友を事故で亡くした主人公は、

 

ショックで大学受験に失敗し、そこが人生の転機となった。

 

社会人となった今も「あいつがいればなぁ」と、

 

折に触れ、亡くなった彼のことを思っている。

 

 

間は省略するが、

 

メルヘンな展開により、彼の死はなかったこととなり、

 

主人公は、今を幸せに生きている彼を目撃する。

 

良かったなぁと思った後で、ふと。

 

自分は、明日からまた変わらず会社に行く、と気づいた。

 

これまでずっと「あいつが生きていれば」とばかり思っていたが、

 

彼が生きていたとしても、自分の現状が変わるわけではなく、

 

自分の人生は、あくまで自己責任だった、ということ。

 

 

終始、非現実的なふわふわした話で、てるてる坊主が日本語を話す。

 

暗い気持ちを「さむざむ」、喜びを「はればれ」と表現する専門用語?がとてもかわいい。

 

そのなかに、前述の骨子があり、ハッとさせられた。

 

 

人は、出会いによって変わることもあるし、

 

親の育て方や家族の接し方で、性格が変わるとも思う。

 

だけど、ある程度の年齢になったら、

 

もう他人のせいにはできないのではないか?と、

 

かねてから私は思っており、共感した。