花散里が一番好きと笑みし友
和服の似合ふ母となりぬる

歌会始で、一般の方から選ばれた歌を見て、

ふふ…となった。


花散里は、大勢いる光源氏の恋人の中でも、

際立つ美女ではなさそうで、

愛し合うシーンなどは記憶にない。

ただ、その人柄がとても良かったので、

年齢を重ねても源氏から信頼され、

息子の世話を任されたりしている。

他の女の子供であっても、嫉妬したりせず、

分をわきまえて穏やかに暮らしている。


そんな花散里が、私も20代の頃から好きだった。

あるとき、瀬戸内寂聴さんがインタビューで、

一番好きなのは朧月夜、と言っているのを見た。


朧月夜は、

天皇に嫁ぐことが決まっていながら、

その弟の光源氏との逢瀬をやめることができなかった、

当時にしたらかなり奔放な女性。


彼女が一番好き、と言う寂聴さんに、

愕然とした当時の私は、

若いくせに枯れていた、とも思う。