最終回「命の金」
くわしいあらすじ(思いっきりネタバレ)の続きです。
如月に意識が戻り、向島、大野の顔にも笑顔が戻る。
「死んじゃうかと思いましたよ」と大野が言えば、「そう簡単に死ぬか」と言う向島。
「佐々倉亜希子は容疑を否認しているらしいな。しぶといな」
「前の案件は民事裁判も起きているから、いずれは…」
向島と如月の話を聞いていた大野は「よかった、正義は勝つですね」と言ったものの、会社に戻ったところに「リークの犯人は大野、おまえだな」と言われて、驚く。
返事に窮していると、「それ、私です」と入って来たのは、大日生命の一ノ瀬だった。
「社員の横領を隠すために、犯罪を犯した人間に保険金を支払うなんて、社会的にどうなんでしょうね?」と藤堂専務に毅然として言い放つと、「社会正義と会社の正義は違うことくらい、君にだってそれくらいはわかるだろう? 君のこともただではすまさないからな」と返され、「さあ、私にはわかりません。私はただの査定員ですから。保険を払うべき人に払う。それだけの仕事ですから」と、堂々と言う一ノ瀬に頭を下げる大野だった。
向島は亜希子に面会に行き、翔に会って元気そうだったこと、如月が回復したことを報告し、「自供をこばんでいるそうですね。本当のことを話してください」と言うが、亜希子は「向島さん、考えてみたんだけど、私、やっぱり違う生き方はできないみたい」と言い残して、さっさと立ち去ろうとする。
が、ふと足を止めて振り返り、「人を殺した人間が死んだら、その保険金は支払われるのかしら」という疑問を向島に投げかけて去った。
拘置所の布団の上で横になる亜希子は、翔に寄り添っているかのように、頭をなでるしぐさをしている…。
そして、亜希子は首を吊って自殺した。
清和生命には亜希子の6歳の息子、翔の代理人から3000万円の代理請求をされていた。
支払いをすべきかどうか、重役たちは議論を重ねるが、「そんな必要はない」と専務の藤堂は一喝。「3人も殺した殺人犯に支払うなんて、世間の常識を考えろ。約款も保険法も関係ない。保険は支払わない。会議は以上だ」と言い放つ。
「そうか、一筋縄ではいかないか。向島ちゃん、あんた、どうする? あの女からの最後のお題だろ?」と如月に言われ、考え込む向島は5年前の事件の被害者で亡くなった敦史の墓に向かう。
シロクマのフィギュアを供えていると、「知らんのか? このごろ墓地もうるさくなってな。こういうものを供えて置くと、すぐに捨てられてしまうんだ」と、祖父の水谷がシロクマを取り上げながら言う。
水谷老人から家に案内された向島は、整理の途中らしいダンボール箱を目にする。
「…敦史のものをぼちぼちとな。あ、その写真はまだ敦史が元気だったころだから、5年前だな」
水谷の言葉を聞きながら、元気だったころの敦史の写真に目を落とし、「俺、何をやっているんでしょう? 今まで何をやって来たんでしょうか。もうだれも保険で死なせないと誓ったはずなのに、結局、だれも救えなかった…」とつぶやく向島。
水谷はその言葉に「救う? たかが保険屋のくせに、何を思いあがってるんだ? 人間なんて、そんなに簡単に救えるわけはないんだ。思いあがるなっ」と向島を一喝する。
水谷はいくつかの箱に入ったものを持って来て向島に手渡す。箱の中には、向島が敦史の見舞いの度に持参した敦史の大好きな動物のフィギュアがいっぱいに入っている。敦史がよくなったら動物園に連れて行くと約束したが、果たせなかった代わりに届け続けたものだった。
「115個ある。あんたは115個分の誠意で救ってくれたんだ。あんたじゃなきゃ。敦史も俺も救われなかった。あんたのやって来たことは無駄じゃない。これからもあんたは思ったとおりにやればいいんだ」
そして、水谷は向島の持つ箱の中にその日持参してきたシロクマをやさしく入れ、向島は水谷の思いに触れて、涙があふれてくるのだった。
※次に続きます。