あらすじ(ネタバレ)の続きです。


撮影所で映子とあかねに「あやしい帽子の男」について聞くが、ふたりとも心当たりがないと言う。映子はあかねがとても苦労して、今の店をやっていることを話し、「行ってあげて」と和美にすすめる。和美は撮影所で、偶然、唐竹企画の社長たちに会い、姓名判断をしてもらっている様子を目にして、「4589」は名前の画数ではないかと思い当たる。みどりは姓名判断が趣味だったようで、トロッコ列車の中でも、映子に「売れたかったら、改名した方がいいわ」と言っていたのだ。


ツアー客の名前を画数で調べてみると、4589はふたりいて、戸辺と尚美だった。「事件には何の関係もない」と、姓名判断の画数が一致したと聞き、「そんなことで来たのか」と怒る戸辺は廊下ですれちがった女性が持つ花瓶に咳き込み、「こっちを向けるな」と当り散らす。戸辺は花粉アレルギーだった。


尚美の方は「結婚しても字画が変わらないのね」とうれしそうで、ふたりが結婚するつもりであることを話す。


夏目が戸辺のことを調べてみると、3年前に母親が火事で亡くなっていることがわかる。3年前はリカが独立した年と同じで、何か関係があるのではないかと疑う和美。調べてみると、リカは戸辺とつきあっていて、結婚するつもりだったことがわかる。


和美はあかねのリフォーム店に行く途中、店から、あの帽子の男が出てくるのを見かけ、後を追おうとしたが、ちょうど靴のかかとが取れて走れずに断念。店に行って、あかねに何者かを聞くと、はじめてきた早田という客で知らない男だと言う。古い着物を作務衣にリフォームして欲しいと頼んだだけだと言い、あかねが知っている様子ではない。


戸部を訪ねる和美と夏目だったが、戸辺はいるすを使っているのか出てこない。庭に回ってみると、窓のすきまから、倒れている戸部を発見する。すべて鍵が閉まっている状態で、パソコンには遺書が書かれていた。


そこにはリカ殺しが自分であったことを告白する内容で、「3年前に母が亡くなった火事は当時は母の天ぷら鍋の不始末からの出火で起きた事故とされましたが、事故ではありません。当時、結婚を反対していた母に対しての嫌がらせとして、リカが火をつけたのです。今回のツアーの申し込みで、偶然、再会したリカの口から聞きましたが、謝罪もしなかったリカに腹が立ち、復讐をしようと考えました。トロッコ列車から保津川下りまでの待ち時間に、リカのポットに毒物を入れましたが、それをみどりに見られていて、脅されたことから、彼女をナイフで襲い、橋から突き落としました。母のもとに行きます」と綴られていた。


しかし、和美には納得がいかない。戸辺は毒薬を飲んだものの、苦しんだらしく、花瓶が倒れ、水が散乱し、カサブランカが落ちていた。しかし、花粉アレルギーの戸辺がカサブランカを飾るはずがない。


一方、狩矢警部は独自に、帽子の男の正体に行き着いていた。


和美は夏目とのデートをセッティングした狩矢警部のおかげで、竹に流すそうめんを見ていて密室のトリックを見破り、夏目とともに戸辺の家に行き、戸辺が自殺ではなく殺されたことを実証していた。犯人は鍵を外に持ち出して閉め、わずかに開いた通風孔に管を入れ、鍵を水で流して戸辺の死体のそばまで送りこんだのだが、それだと水がこぼれるため、それをカモフラージュするために花瓶をわざと倒しておいたのだった。戸辺が花粉アレルギーだと知らない人物が犯人だと考えられた。


和美は尚美が花束を持って戸辺に供えとしているのを見て、「戸辺さんは花粉アレルギーなのに?」といぶかしがると、尚美は腹立たしそうに花束を叩きつけて、「あの世で苦しめばいいのよ」と怒りを爆発させる。リカと一緒に戸辺が言い争っているとき、リカが自分のことを「過去の女」とか、「邪魔になったら消す」と言っていたことを聞いていたのだった。何もしらなかったと怒りをぶつける尚美の背後から、殴りつけたのは帽子の男だった。「事件は終わったのに、何をかぎまわっているんだ」と恫喝する男に、「戸辺さんは自殺じゃない」と言う和美だったが、「やっと守ってやれる火が来た」とつぶやく男は和美を殺そうとする。


もみあっているところに来たのは狩矢警部たちで、連れていたのはあかねだった。


「早田春平さん、この方をご存じですね?」


「明るい音のきこえる場所」というあかねの店のキャッチフレーズは「中本明音」からつけられたもので、あかねは「明音」で「4589」という字画なのだった。


3年前、あかねは戸辺の母親と、実の親子のようにつきあっていて、戸辺との結婚を望んでいたが、戸辺にはその気がなく、リカを家に連れてきたときに、「こっちは親戚」とあかねのことを紹介したので、母親は激怒。「結婚は許さへん」と、戸辺とリカのふたりを追い出し、「うちはあかねちゃんさえおったらええねん」と、本当に大事に思っていてくれたのだという。


ところが、1か月ほど前に、カフェで戸辺とリカが話をしているのを偶然に聞いて、リカが火をつけて、母親が殺されたことを知り、絶対に許せないと思ったのだと言う。自分にとっては、ただひとりだけの大切な人であった戸辺の母親の無念を晴らすために、リカを殺害し、それを目撃して脅してきたみどりを殺したのだという。


帽子の男は38年前に失踪宣告されたあかねの父親で、そっとあかねのことを見守っていたのだった。不思議な縁で、若いとき、あかねの父親は戸辺の母親とつきあっていて、事情があって、別々の人と結婚していたが、その人と娘のあかねが一緒にいることにとても驚いたのだと言う。


そんなあかねを守りたい一心で、自分がやったことにして欲しいと泣く父親の春平だったが、もちろん、そんなことは許されない。あかねはいつか父親と再会したときのためにと着物で作った上着を出し、「お父さん、着てもらえますか」とやさしく尋ねる。親子の再会ができたことが唯一の救いだったが、罪が消えることはない(Fin)